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マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2011

野仲茂がツアー2勝目のチャンス

初日は48位と出遅れた選手とは思えない。野仲がごぼう抜きで順位を上げてきた。2日目は66。さらに、この日3日目は64の大爆発。しかも2日連続ボギーなしと、完璧なゴルフで2位と3打差をつけて単独首位にのし上がった。

「初日のスコアがいつもの僕なんですけど」と本人も照れ笑いで首をかしげる。会場入りするなり、ABCゴルフ倶楽部の高速グリーンに戸惑った。「今週はダメだな」と、早々に決勝進出すら諦めた男が、いつの間にか優勝争いしている。

「何にも変えていないんですよ。いつもどおりにやっているだけで」と、本人にもその要因がつかめないまま、この日は出だしの1番で下りの7メートルをねじ込むと、取りも取ったり8つのバーディ。

「普段から、届かないから」という少々弱気のパットも、グリーンが速いために今週は、その弱点が逆に有利に働いているのだろうか。
「だから今日も下りばっかり入ったのかも」と、本人も苦笑した最終18番も、奧から5メートルを沈めて、ついにリーダーボードのてっぺんに。

昨年8月の関西オープンで、プロ19年目にして悲願のツアー初優勝で得た2年間のシード権も、「それに頼るのはやめよう」と、シーズン初めに決めていた。上位70人に与えられる、いわゆる“賞金シード”を毎年続けることが、やっぱりプロのプライド。

「それに、勝った翌年にいきなり落ちるなんて、何を言われるか分からない」と、気を引き締めたつもりでも、今大会を含めて残り5試合となった今もなお、賞金ランクは87位と遠く圏外にいるだけに、一気に現状打破の自身2勝目は、喉から手が出るほど欲しいはず。

そんな欲望を押し殺す。「トップに立ったとかは考えず、いつもどおりマイペースでやるだけ」と、無欲で挑む。初優勝は真夏の試合に、「負けたら疲れるだけだよ」と、前回の最終日は家族の応援もあえて断った。
「今回も、どうしようかな・・・」。
総距離7217ヤードは飛ばし屋有利と呼び声高いコースも、「僕には長い」とはなから諦めていただけに、本人にも思いがけず訪れたチャンスにも、ホールアウトしてすぐは心を決められずにいた野仲だが・・・・・・。

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