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東建ホームメイトカップ 2011

「今、日本のために」

知人を亡くした選手もいる。幸い家族の命は守られたが、自宅が被災した選手も。そして、自身に被害は及ばなかったとしても、このたびの大震災は、どの選手にとっても他人事ではなかった。
3月11日以降、誰もがいま、自分に出来ることは何かを懸命に考え、戸惑いながらも、それぞれに行動に移してきた約1ヶ月間であった。

この非常事態に、自分はいまゴルフをやっている場合なのか。そんな迷いも含め、さまざまな葛藤に揉まれながらも、2011年のジャパンゴルフツアーは開幕した。

東建ホームメイトカップの主催者は、予定どおりの開催とともに、2億円の義援金と「復興東北! 頑張れ東北!」との大会スローガンを発表して、選手たちにチャンスを与えてくださった。
会場内での募金活動などを通して、主催者が用意してくださった2億円に「+@」の義援金を被災地に届ける機会を設けてくださった。

石川遼が言う。「僕ら選手も何か働きかけたかったし、動きたかった。そんな中で、トーナメントをチャリティと位置づけて開催してくださることは、僕ら選手にとっても非常にありがたいこと。トーナメントでプレーする中でも、僕らに出来ることはあるはずだから」。

そして、ジャパンゴルフツアーが今年1年を通して掲げたスローガンは「今、日本のために」。
大会初日は、スタート直前に選手たちがクラブハウス前のパッティンググリーンに集まって、1分間の黙祷と開会宣言を行った。
その中で、選手会長の宮本勝昌がマイクを握り、被災地の復興を祈って全力プレーを誓うとともに、ギャラリーやファンのみなさんにも協力を呼びかけた。

選手たちが、気持ちを一つにして2011年がスタートした。
ホールアウト後は選手みんなが募金箱を持ち、義援金を募った。
初日としては、大会最多となる6103人ものギャラリーが駆けつけ、大会を盛り上げてくださった。

「いずれは東北地方の人たちにも前を向いて欲しいと言う思いがありますが、まだまだ被災地は大変な状況だから、まずは他の地域で盛り上げていきたい、と。今日はさっそくギャラリーのみなさんがそれを形にしてくださって、凄く嬉しい」と感謝した石川は「1円でも多く、被災地のみなさんにお届けしたい」との願いを込めて、ギャラリーゲートでの募金活動のあと、「今日はスイングスピードが、自分の理想よりも鈍かった」との反省から約2時間、みっちりと練習場で打ち込んだ。

1アンダースタートは、約2ヶ月のアメリカ遠征から帰ったばかりの試合にしては、「悪くない」。それでも、毎試合優勝争いをするつもりでプレーするとの目標を掲げたからには、物足りない。
「3日間かけて、調子を取り戻したい。100%の力を出し切りたい」。
全力プレーを誓う選手たちの心は、いつも被災地のみなさんとともにある。

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