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The Championship by LEXUS 2010

井上信の完璧なゴルフに、チャンピオンも詫びた

チャンピオンが、「マコには本当に申し訳なかった」と、本気で詫びずにはいられないほど完璧な内容だった。

一時は井上信に6打差のリードを許した兼本が振り返った。
「僕は水に濡れたり、泥にまみれて、それを乾かしながらの必死のゴルフ」。
確かに、出だしで連続ボギーを打ったり、再三、林に打ち込んだり、この日の兼本はまさに山あり谷あり。

対して同組の井上はと言えば、「順風満帆。印刷されたようなゴルフをしていた」と、敗者に惜しみない称賛を送ったように、この日の井上は、常にフェアウェーの真ん中を歩き続けて、打てばチャンスにつくゴルフ。

16番で、この日8つめのバーディを奪って本人も、ほとんど「勝てる」と確信した。
しかし2打差で迎えた17番で、この日初めてグリーンを外したとき、それまであまりに完璧だったゴルフが、逆に井上に試練を与えてしまった。
「今日、初めてのアプローチに、頭をよぎるものがあった」という。

案の定、深いラフからの第3打はピンをオーバー。4メートルのパーパットを外して、ついに兼本に1打差まで迫られた。

そして迎えた最終18番は、まさに青天の霹靂(へきれき)だった。
2打目を刻むしかなかった井上は、先に9メートルのバーディパットを外した。プレーオフもあるかどうか、という場面で兼本は、6メートルのイーグルチャンスをねじ込んだ。
最後の最後に、まさかの大どんでん返しを食らった。

7アンダーの65をマークして、一度はぶっちぎりのV3を確信した展開まで持ち込みながらも敗れた。あれだけ完璧なゴルフをしながら勝てなかった。
「盛り上げ役になってしまったけれど。まあ、しょうがないです」と、素直に白旗をあげるしかない。
「兼本さんが、凄すぎた」と、認めるしかない。

見事なまでの逆転負けを喫して、「いつか仕返ししたいです」。
やられたままでは、男がすたる。

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