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キヤノンオープン 2010

石川遼も首位タイに

最終18番は、7メートルのバーディパット。単独首位で、抜け出すチャンス。「1メートルは曲がる、下りのスライスライン」と読み切った。この日3日目は、手前4メートルのバーディ発進をしたスタートの1番から、ひとつ加えたルーティンは素振りの際に、左手の平でキャップのひさしを押さえるしぐさ。

「ボールに当たる前に、顔がカップを追ってしまうのが僕の悪いクセ。でもこうして視界を遮ることで、頭の動きが制御される」。
特に上りのストレートで効果を発揮するというこの試みは、最後のバーディトライでも奏功してボールは思ったとおりのラインを描いて転がった。

「入った、と思いました」。

が、しかしわずかにカップをそれた。
思わずその場に膝をつき、背筋をそらして空を仰ぎ、ひっくり返る寸前で後ろに手をついたが、バランスを崩して尻餅をついた。

石川には珍しいずっこけシーンは「悔しい、というよりも、そこで力が抜けた。脱力感がありました」。

この日は朝から降り出した雨にもかかわらず、初日から相変わらずとどまることを知らない人の波。「あんなにたくさんの傘が開いているのを見るのは初めてでした」と、目を丸くして振り返る。

「雨の分、今日は1クラブは距離が落ちた」という難条件に加え、大ギャラリーの大声援を受けて、なおさら「良いプレーをお見せしたい」と、気が引き締まる。

この日もまた、自身のノルマの4つのバーディをクリアする一方で、きわどいパーパットも随所でしのぎ、いつになく張り詰めた空気の中でのプレーとなった。

それが一気に最後に解けた。
単独トップの座は逃したが、今季初めてという3日連続の60台。
そして、この日もボギーは15番のひとつにとどめ、3日間を合わせてもまだ4つという安定感が光る。

「これだけ3日間、同じリズムでプレー出来ているのは自分でも初めてです」と、確かな手応えもある。

前夜は今週、今大会と開催時期が重なった「アジアアマチュア選手権」の会場に駆けつけ、後輩たちに激励のスピーチをプレゼントした。
勝てば来年のマスターズトーナメントの出場権が与えられるという同選手権にはマスターズ委員会の面々も顔を見せ、石川にエールを送った。

「今週も来週も、再来週も勝てば、君も来年の出場権が取れるじゃないか」とビリー・ペイン委員長。「とりあえず今週はチャンスなので、頑張ります」と、応えた。

それに付随して2年連続の賞金王も、「一度取った今年は昨年よりも早く、意識の中にある。今年も、という意気込みがある」と、譲る気持ちはさらさらない。
首位に3人が並ぶ相変わらずの混戦は、「2つ、3つボギーを打ってもそれを上回るバーディを取れば、明日もスコアを伸ばしていける。ひとつでも早く単独首位に立って抜け出したい」と、もはや頂点しか見ていない。

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