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つるやオープン 2010

藤田寛之が単独3位に

先週の東建ホームメイトカップはジャパンゴルフツアーの開幕戦というのに、どこか冴えない表情だった。無類の完璧主義者は、初戦からスイングの迷路にハマっていた。
その大きな原因は、今季から取り入れた長尺のドライバーだ。
昨年、2年連続の出場を果たした全米プロの会場で、片山晋呉に言われた。
「藤田さんも、長いの使えると思いますよ」。

めったに人の意見に耳を貸さない頑固者だが、ある2人の意見だけは例外だ。
藤田にとって、その一人が片山だ。
「晋呉の言葉にまんまと乗せられましたかね」と、笑う。

40歳を越えて、これから先はトレーニングで鍛えても限界がある。ならば、道具で補えばいいと、メーカーに発注したのはこれまでより1.5インチ長い、46.25インチ。
詳細なデータを取ってみても、10ヤードは飛距離が伸びることが分かった。

不惑を迎えてなお、より高みを見据える貪欲さ。
「会社で言えば、企業努力の一環です。より売り上げを伸ばすための積極投資」とさっそく取り入れることにしたものの、長いクラブはリスクもデカい。

「正確性やミート率。誤差が大きく、デメリットも多くて。痛みを伴うこともある」。
それが、如実に出たのが先週だったのだ。

続く今週の第2戦。
初日の雨天中止に、この人の助けを借りた。今大会主催者推薦で出場している師匠を引っ張り出した。
芹澤信雄に電話をかけて、「一緒に練習場に行ってください」。
宿泊先まで出迎えて、近くのゴルフセンターでスイングを見てもらったら、不安がたちまち解消した。

藤田が意見に耳を貸すもう一人が芹澤だ。長尺ドライバーを使い始めたことで、「芹澤さんは、“今までのお前にない動きが出ている”と」。
それは簡単に言えば、「(インパクトで)かぶって行く動きが入っている」といったニュアンスだった。
「それは他の人に言われても、きっと理解出来ない。理屈じゃない。師匠の生の声」。
その一言で一気に晴れた。
「バラバラだった点が、ひとつに結びついたんです」。
この日は、15番のチップインイーグルを含む66に、2戦目にしてすっかり笑顔を取り戻した。

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