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コカ・コーラ東海クラシック 2010

谷口徹は「若い子には負けない」

この日はインスタートの最終9番。大雨が降りしきる中、8メートルの長いバーディパットを決めて、「ガッツポーズをしてやりました」。
今大会は、自身初の賞金王に輝いた年の2002年のチャンピオン。まして、近ごろオフは、「いろんなクラブが要求されるし、実践さながらで出来るから。他のコースより練習のしがいがある」と、必ずここ三好で3日間前後の合宿を慣例にしており、同コースに所属する後輩プロの名をあげて、「上井(邦浩)くんよりもたくさん、回っている。“準ホームコース”と言ってもいいくらい」。

勝手知ったる難コースで4アンダーとスコアをまとめ、「夏はヘバっていたけれど。気温30℃を切ったら体力も戻ってきた。若い子には負けません」と、42歳の口から久々の宣戦布告も飛び出した。

今年の猛暑に加え、ここ数週間は「飛ばしに駆けてしまった」。
石川遼や、薗田峻輔ら若い飛ばし屋と張り合い、「勝ったりしてしまったから。あの一発の快感が忘れられなくなった」と、飛距離を追い求めたことで、安定性を欠いた時期があったという。

「ここ何ヶ月間は、よくぞここまで稼げなかったな、というくらい」。

予選は通過するものの、不本意な成績に終わり、鬱憤もたまっていただけに、今週は難攻不落のコースを前に、心を悔い改めた。
「ステディに行こう」。
本来の持ち味を武器にすることで、いつもの強さを取り戻したら、自然と気持ちも前向きに。

今月は、次女の桃子ちゃんを授かって、子煩悩ぶりが再燃。オフは沐浴を欠かさず「首がすわらないうちは、手が疲れて大変です」と、目尻を下げる一方で、長女・菜々子ちゃんのご機嫌取りもぬかりない。

最終日のウェアを選んでくれながら、菜々子ちゃんにおねだりされた。
「パパ、優勝してきてね」。
「必ず勝つよ」と、請け負った。
「パパの威信にかけて、今週は勝つ」と、指切りげんまんしたからには、絶対に大会2度目のタイトルは譲れない。

近ごろしばらくおとなしくしているうちに、賞金ランキングもあれよと抜かれ、韓国の21歳、金庚泰(キムキョンテ)がトップに。
近ごろ、めっぽう強い韓国勢の中でも「若いのに、スイングも出来上がっていて羨ましい」と谷口も一目置く存在は、「自分ももっと頑張らないといけない気持ちにさせられる」と、対抗心もメラメラだ。
「負けたくないですね」。
その金が、今週は母国ツアーへの参戦で日本を留守にするうちに、今季2勝でトップに躍り出る算段だ。

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