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日本オープンゴルフ選手権 2010

横田真一は「今週、化けの皮がはがれるときが来た」

この日の練習日は18ホールの練習ラウンドの間も携帯電話は着信履歴で満杯だ。メールもひっきりなしに届く。その返信や、主催者やスポンサーへの表敬訪問、「第二の人生は、花屋にしようか」と、都内の自宅に届いた数え切れないほどの花束も、義理硬い男にはそのお礼もひとつとして忘れてはならない。

取りこぼしのないように、手の甲にいま、やるべき優先事項をマジックで書き込んでいるほどだ。

横田は、悲願のツアー2勝目を挙げた先週から、明けてこの3日間の様子を、トップアイドルグループに重ねて表現した。
「まるで“スマップ”ばりの忙しさ」。
先週の3日目までは、年末に行われる翌年の出場優先順位を決める予選会ファイナルQTを受ける覚悟でいた。
それが、今では年末の「日本シリーズになっちゃった」。
来季のシード権に怯えていた選手が一夜明けると、その年のチャンピオンと、賞金ランク25位までの選手しか出場権のない頂上決戦の権利を掴んでいた。

「人生、変わっちゃいました」と、にやけた。
「急にスター選手になっちゃって」と、照れまくった。
「日曜日の夜からバタバタですけど、これぞ嬉しい悲鳴です」と、改めてしみじみと喜びに浸った。

誰よりも優勝を見せたかった長男・知己くんには、「夜も夢に出ちゃうくらい嬉しいよ」。どんな祝福の言葉よりも嬉しい。
「パパの株が、上がりましたね」と、目尻も下がる。

もっとも、13年と19日ぶりに味わう美酒は、あまりのブランクの長さから、どこか現実味がない。
今でも、シード権を失ったときの金銭感覚が抜けず、ホテルの冷蔵庫の飲み物には手がつけられない。
「夢みたいで」。
しかし、1週過ぎて、所変わればそこには現実が横たわる。

本当は、今週の中継局はNHKのテレビ解説として訪れるはずだったこのゴルファー日本一決定戦は一転、選手として登板することとなり、この日は18ホールの練習ラウンドで、今度は本当の悲鳴を上げた。
「ついに化けの皮がはがれ落ちるときが来た・・・。恐ろしいですね」。
会場の愛知カンツリー倶楽部は、特に落としどころが絞られたフェアウェイはたとえ先週のチャンピオンであっても、一筋縄ではいかないだろう。

2週連続Vがかかるが、難コースを前に、改めて胸に誓った。
「自分に期待せず、リラックスしてやります」。
それこそが、先週の勝因でもある。

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