Tournament article

ANAオープン 2010

矢野東は「過去の栄光にこだわるつもりはない」

半信半疑だった矢野には、自信のつく一言だった。練習日にコーチの内藤雄士さんが言った。「凄く良く振れてるよ」。手放しの称賛を受けたのは、「本当に久しぶりだったから」。

確かに、思い当たるフシはあった。
今年の春先は、練習場で5時間も6時間も居座って、ボールを打ち続けた。そうせざるをえないほどに、スイングに完璧を求めていた。

「でも今は、練習場に行っても60球くらい打って、あとは内藤さんと喋っていたり」。
闇雲にボールを打たないで済むのも自分の中に、確かな手応えがある証拠。

そしてこの日は強い風の中、コーチの太鼓判を裏付ける初日の4アンダーだ。

しかも「7バーディは、かなりいいんじゃない?」。悩みも完全に吹っ飛んだ。

今大会は、2008年のチャンピオン。その年は、ほか1勝の年間2勝で片山晋呉と最後まで賞金レースを争った。

また賞金ランキングは自己最高の2位に。
しかし、そのあと1年と半は勝ち星にも見放されたまま。
そのギャップに焦りを感じた時期もあったが、いまは「過去の栄光に、こだわるつもりはない」と言い切る。

「また、ここから結果を積み上げていけば良いだけのこと」。
もう一度、いちから栄光を築くための第一歩を踏み出すには、ツアー通算2勝目をあげた、ここ輪厚は何よりの舞台となるはずだ。

関連記事