プロゴルフ界随一の軽量プロ矢部も、今年40歳を迎える。あの見事な日本オープン優勝は、もう4年も前のこととなってしまった。その後、優勝の2文字を忘れてしまったような矢部。「あの後左手首を痛めたり、体調の方が十分でなかった。しかし、一昨年だってブリヂストン阿蘇で優勝争いしているし、昨年だってマッチプレーで高橋勝成と決勝で争っているし、ポカリスエットも青木基正と2差の2位。内容がどうのこうのでなく、チャンスを掴み切れなかっただけ」と、ベテランらしく冷静に見つめている。しかし、開幕戦から関東プロまで出ずっぱりの15試合を予選落ちなし、5試合がベスト10入りと張り切ったツケが、夏バテとなって痩身を見舞い、夏以降は関東オープン7位、広島オープン5位があるだけで、後は散々の出来だった。といってもシーズン通じて予選落ちは5試合だけだから、矢部の芯の強さは流石なもの。平均パット数29.31(9位)平均ストロークが72.49(21位)といった、自分の力を知り尽くしたゴルフは、矢部自身の言う通り、うまく訪れたチャンスを掴みさえすれば、年間1勝を続けることぐらいは、十分成算があるといえる。「昨年は日本シリーズに出られなかったのが悔しい。体力がないから、カゼをひいたりするのが最も怖い。そういう点に留意して、61年は日本シリーズ出場が目標」だそうだ。＜1986＞