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サントリーオープン 2000

WELCOM BACK! NICK!!

 デイフェンディングチャンピオンのニック・プライスが、帰ってくる。

 昨年は、丸山茂樹との一騎打ち。勝負は通算6アンダーで並んで最終18番までもつれこみ、第2打をピン右横13メートルと寄せきれなかった丸山に対し、ピッチングウェッジで右真横1.5メートルにピタリとつけたプライスが、バーディを奪って日本ツアー初Vを飾った。

◆ 昨年度プレイバックと勝者コメント

 1999年、サントリーオープン。
 最後は、プライスと丸山茂樹の一騎打ち。
 通算6アンダーで並んだままもつれこんだ18番。プライスのティショットは、ピンまで残り132ヤード。丸山のティショットは、そのもう少し先の、残り127ヤード地点の右ラフに、縦に並んで落ちた。
 プライスのボールは順目のラフにポソンとはまり、丸山のボールはすっぽり埋まった状態だった。

 いずれにせよ距離感の出しにくい、難しいライからのショット。
 高く上げて、小さなグリーンにピタリと止める―、そんな高度な技術が要求される場面だ。

 丸山より先に打ったプライスの第2打は、圧巻だった。
 ピッチングウェッジでのショットはピン手前に落ちて、右真横1.5メートルにピタリ。

 「きょうのピンの位置は左(手前から14ヤード、左から5ヤード)だったから、ティショットは右目に落すつもりだったけど、狙いより3ヤードくらい右にいきすぎてラフにいってしまったんです。
 それでもラフは、それほど悪いライではなかったから助かりました。第2打は、そこからピンの5.6ヤード右端をねらって打ったら、いい具合のところに落ちてピンに向かっていきました」(プライス)。

 対する丸山の第2打。サンドウェッジでのショットは、これもピン右真横。
 だが、残り13メートルと寄せきれなかった。

 「プライスさんのショットは本当にうまかった。ピッチングウェッジでのフルショット…あれは素晴らしかった。経験をかなり積んでいないとできないことだよね。
 ぼくのショットは、サンドウェッジではきつい(足りない)、ピッチングウェッジはデカイという中途半端な距離。
 自分ではピンをねらっているつもりでも、フェースが開いて入った分だけ、右に多く出たんだ」(丸山)。

 丸山のバーディトライを見届けてから、プライスはじっくりと、ラインを読んだ。

 横から。向かい側から。さらに、真上から。
 そして、「カップのボール2、3個右」と確実に読みきって、バーディパットをカップに沈めた。
 それまでの厳しい表情から、ようやく見せた笑顔。そして、この日初めてのガッツポーズも飛び出した。

 奇しくも最終日は、好敵手・丸山の誕生日だった。
 戦いが終わってプライスは「マルのせっかくのバースディVを盗んだようで、心苦しいね」とコメント。
 「でも、自分にとっても、今回の優勝は、ぜひ取りたかったもの。だから、とてもハッピーだよ」とプライスが言えば、
 「ちっきしょ〜! プライスさん、やっぱつえ〜な〜。次には必ずまかしてやる〜!!(笑)。でも、きょうは久しぶりの優勝争いで素晴らしいゴルフができたと思う。ニックさんのゴルフもほんとうに素晴らしかったと思う」と笑顔で返した丸山。

 昨年は、見ごたえのある好勝負が繰り広げられた。
 今年、プライスがどんなドラマが見せてくれるだろう。また、それに対抗するプレーヤーは誰か。注目が集まる。

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