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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2008

菊池純「もういちど会いたい」

同組の武藤俊憲が思わずボヤいた。「純さん、入りまくりで。途中から、もうヤんなっちゃいましたよ」。本人もニコニコしながら頷いた。「今日は、ほんとにパットだけでしょ」。ショットはここ最近ないくらいに絶不調。だが、それを補ってあまりあるパッティングで、バーディの山を築いた。

やはり道内で行われた昨年のサン・クロレラ クラシックで涙のツアー初優勝。
一時はトイレに行くのも困難なほど、深刻な腰痛を克服して栄冠を手にしたが、その後も一進一退の症状が続いていた。

懸命の治療とトレーニングを重ね、「8割方、良くなっている」と主治医から太鼓判を押されたのはこのオフ。2年間に及ぶ闘病生活にもひと区切りがついて、「今年は思い切りクラブが振れる。これまで出来なかった打ち方が出来る」。ツアーきっての練習の虫に、ようやく笑顔が戻ってきた。

石川遼と同じ、ヨネックスの契約プロ。
しかし超・マイペース人間は、華々しい活躍を続ける“後輩”にも「遼くんが入るのなら株を買っておけば良かったな」などと妙なところで悔しがるだけで、別段その存在を意識することもない。

石川は、タイトでスタイリッシュなウェアを好むが、「僕が遼くんと同じのを着ても似合わないから」。そのかわり、キラキラ光るラインストーンをあしらったり、自分なりに工夫して、石川とは一線を画した個性を演出。
この日、ドぎついオレンジの上下を選んだのは、同じ組で回るジャンボ尾崎に「イジられたかったか」という。
ウェアだけでなく、クラブのシャフトもティも徹底してオレンジ一色で、スタート前に朝の挨拶に行ったら案の定、ジャンボは目を剥いた。

菊池の頭から足先まで舐めるように見たあとに、「イヤ〜な顔でそっぽを向いて・・・。ジャンボさんが、思ったとおりの反応をしてくれて嬉しかった」と、まるでいたずらっ子のような顔で笑った。

例に漏れず、菊池の狙いも最終日だ。
プレゼンターとして駆けつける大会名誉会長の長嶋茂雄氏とは小学校時代に一度、野球のレッスンを受けたことがある。

今年35歳。ミスターの全盛期を目の当たりにはしていないが監督時代も含め、その偉大さはもちろん尊敬として胸に刻まれている。
「もういちど会いたいですよね」。
もし勝てば、表彰式で約25年ぶりの“再会”だ。

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