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谷口徹が地元奈良県の施設を訪問(3月2日)

たちまち子供たちに囲まれて

1年待たせただけのことはある。門をくぐりなり、歓声が漏れ聞こえてきた。
「すげえ、本当に来てくれたよ!」。
子供たちは、首を長くして待っていた。
あっという間にとり囲まれた。さっそく膝の上に乗っかる子。「抱っこして」とねだる子。断りもなく背中によじのぼり、おんぶにおさまる子・・・・・・。

普段は4歳になる長女の菜々子ちゃん一人だけでも手を焼いているのに、いきなり子だくさんの父親になった気分だ。

子供たちのパワーに圧倒されて、帰るころにはぐったりとしていたが、それもどこか清々しい疲れ。わざわざ足を運んだ甲斐はあった。
「僕の話に目をキラキラさせて、一生懸命に聞いてくれた子もいて。心に何か、届いていたらいいよね」と、帰りの車でしみじみと言った。

谷口徹が、地元・奈良県の児童福祉施設へのチャリティ活動をスタートしたのは、2006年からだった。
毎オフに、シニアVS女子VS男子の対抗戦「日立3ツアーズ選手権」で獲得した賞金の全額をただ寄贈するだけでなく、必ずその施設に自ら足を向け、子供たちを触れあうことをライフワークにしてきた。

2008年には残念ながら、谷口は同大会の代表メンバーには選ばれなかった。
それでも「地元への貢献活動は続けていきたい。日本の将来を担う子供たちが、一人でも多く健全に、そして幸せに育ってくれれば」と、賞金ランクは26位につけた同年は獲得賞金の一部を、県内の以下6カ所の児童養護施設と、2カ所の母子生活支援施設に引き続き寄付することを決めた。

①愛染寮  ②いかるが園 ③大和育成園 ④飛鳥学院 ⑤天理養徳院 ⑥嚶鳴学院 ⑦佐保山荘 ⑧ライフイン郡山

さらにその中から訪問先を、宇陀市で103年の歴史を持つ児童養護施設「大和育成園」に決めた。それぞれ何らかの事情を抱え、両親と一緒に暮らせない38人が、肩を寄せ合い生活を送っている。
訪問日も翌年の2009年3月7日に決まり、谷口も子供たちに会えるのを、楽しみにしていたのだ。

しかし直前に長期延期を余儀なくされた。2月末に、大阪府内で交通事故を起こした。幸い誰も巻き込むことはなく自損事故で済み、大事には至らなかったが左肩を脱臼した。しばらく安静が必要で、いったん予定は流れた。そのことがずっと気になっていた。

ようやく念願果たして今月2日(火)の1年越しの訪問に、岡田悟・園長先生に「お待たせしてスミマセン」と、改めて頭を下げたが、それも怪我の功名だったかもしれない。

事故で出遅れた昨シーズンではあったが、9月のANAオープンで2年ぶりのツアー通算15勝目をあげることが出来た。
子供たちとの1年越しの対面は、今回の訪問の最後に開いた「夢」の講演会でも、その報告をすることが出来たからだ。

みんなの前で訴えた。
「好きなことを見つけよう。好きなことのためならどんな辛いことでも耐えられるから。諦めずに一生懸命頑張れば、どんなことでも実現できるから」。
過去2度の賞金王と通算15勝は、その言葉にますます真実味を添えることも出来た。

4月には、この施設を旅立っていく子がいる。その子もまた胸に溢れんばかりの夢を詰め込んで、世間の荒波へと出ていく。
「しんどいこともあると思うけど、その中でどれくらい頑張れたかで、目標の達成度も変わる。ぜひ新しいことにも楽しんでチャレンジして、頑張って欲しい」と、祈るように話した。

みんなで賑やかにいただいた夕食。お喋りも弾んだ。そのとき使った食堂のテーブルは、今回の寄付金で購入されたものだと、岡田先生が教えてくださった。
子供たちが過ごす部屋の新しいベッドもそうだ。
そのほか、一部は今年12月に、完成予定の新施設の建設資金にも充てられるという。

「谷口プロ、ベッドや机をありがとうございます!」。

講演会の前に、駆け寄ってきた女の子2人に丁寧に頭を下げられ、ちょっぴり照れた。
講演会の最後には、子供たちから贈られた手作りの優勝カップ。
正面のプレートに当たる部分にも、「いつもありがとうございます」と子供たちの字で感謝の言葉が記されていた。
心のこもったプレゼントにジンと来た。
「嬉しいなあ!! さっそく、家に飾っておきます」。
谷口にとっては、これまでに手にした15個のカップのどれよりも、うんと大きな価値があった。
「上手に出来ているなあ!!」と、そのできばえにも感心しきりですぐに大切に車のトランクにしまった。

本人の目下の夢といえば、「もういちど、一番になること」だ。3年ぶり3度目の賞金王獲りへ。「子供たちと、テレビで応援しています」と岡田先生は言ってくださった。それを励みに2010年は、42歳が18歳のキングにも真っ向勝負を挑む。

  • なつかれて、「抱っこして」とせがまれる
  • いきなり耳もとでラッパを吹かれてびっくり!!
  • 「夢」をテーマにした講演会で、これまでの人生とこれからの夢を語った。
  • 最後に子供たちから贈られた手作りの“感謝のカップ”はこれまでのどの15個よりも嬉しくて・・・

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