初日、2日目のスコアの出方から最終日は伸ばし合いになることを勝亦自身も予測していた。だから、スコアボードを見ても焦ることはなかった。
また、勝亦を冷静にさせた要因がスタートホールのパーパットだ。微妙な下りの3mを、半ばボギーでもしょうがないと思いながらストロークしたのを決めることができた。
「あのパットは大きかったと思います。自分がやってきたことが正しかったと思えたことで、その後のパットも自信を持って打つことができました」。
『〜全英への道〜ミズノオープン』の際に、パットのコーチングを受けてから、ストロークの改良に挑んでいる。まだまだ違和感があると言いながら、それをやり続けることで新しいものを掴もうとしている最中だ。100%自信を持って打てているわけではないが、スタートホールのパーパットのような難しい場面で決めることができると、やっていることへの自信を上塗りすることができる。
パッティングを含むショートゲームは勝亦の生命線と言ってもいい。距離が出るタイプではなく、正確性とショートゲームでゴルフを組み立てる。
1990年生まれの30歳。静岡県出身で明治大学を経て2016年にツアープレーヤーに転向している。同い年には稲森佑貴や阿久津未来也らがいるが、その2人が勝亦に刺激を与えている。
「稲森選手が曲げないスタイルであれだけ活躍してくれているのは、自分にとって励みというか、極めれば自分も戦えると思わせてくれている部分がありますし、阿久津選手はミズノオープンで勝ったときに、水掛けにも参加しましたが、見事な勝ち方で本当に刺激になりました」。
次の目標はもちろんレギュラーツアーでの優勝だが、まずは来シーズンのシードを獲得することを1番に考えている。
「ホッと」の意味は、やっと勝てた安堵ではなく、自分が向かっている方向が間違っていなかった、やっと戦える状態になってきたという安堵からの言葉だ。
自分がやるべきことをやり切って勝てたこの勝利は単なる初優勝ではなく、自らの成長を証明する勝利となった。