今季は開幕戦から苦戦が続くが、覚悟の上だ。
今年2月から、目澤コーチと取り組むスイング改造は、「今まで自分一人でやってきたことはひとまず置いて。パター以外は全部変えている。成績が悪くなるのは分かっていたこと」。
プロ10年目を迎えた昨年、3月のアジアンツアー「ニュージーランドオープン」でのプロ初勝利を皮切りに、本大会で国内初優勝を飾り、10月の「バンテリン東海クラシック」でさっそく2勝目を挙げた。
大器がようやく大輪を咲かせた矢先の変更にみな驚いた。
「悪くないのに。なぜ変えるのか」。
周囲の疑問に断固として言う。
「日本で勝ててもPGAツアーでは通用しない」。
3年前にファーストから挑戦した二部ツアーのQスクールや、昨年の日本開催「ZOZOチャンピオンシップ」でも痛感したことだ。
理想は、芝質や気候の違いにも左右されない再現性の高いスイング。
「一人でやるには限界がある。いま思い切ってやるべき」と、目澤コーチをたずねて3か月。
「けっこう、チップインが出るんですよ」と、ショートゲームにはすでに一定の効果を感じている。
ただ、ショットに関しては、結果を求めるあまりに根を詰めすぎ、先週のアジアンツアー「インターナショナルシリーズジャパン」では2日目に途中棄権を余儀なくされた。
「都内でトレーナーさんに看てもらったら、改造中って本来は2割3割の力でできる意識を8割くらい出していかないといけない、と。相当、筋力に負担がかかる中でずっとやっていたので。肩と首を痛めて振れなくなった。痛すぎて、笑ってました」。
完全に、こわばりを取るのに丸2日。
あまりの痛みに「地獄の治療」と称した献身ケアのおかげで本大会には間に合った。
状態は、けして本調子とはいえない。
それでも「ちゃんとしなくちゃな」と、自然に背筋が伸びる要因は、会場のそこかしこに見える今年の大会ポスター。
中心にデン、と幡地のスイング画像がデザインされており、「僕の写真が飾られることが普段ないので。今のぼくの状態にはすごく励みになっています」。
日本最古のオープン競技は過去89回開催のうち、連覇達成者はまだ5人しかいない。
⛳「関西オープン」の連覇達成者
・森岡二郎(1934、35年)
・戸田藤一郎(1938、39年)
・宮本留吉(1950、51年)
・橘田規(1962、63年)
・杉原輝雄(1964、65年/1973~75年)