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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2023

大事なのは挑戦し続けること。金谷拓実は来季、欧州へ

金谷 拓実(かなや・たくみ)は2打差の3位タイから出て、後半17番のバーディで、中島と蟬川に追いついた。


首位タイで入った難しい最後18番のパー3は、3メートルのバーディパットが惜しくも外れたが、最後はしっかりと、賞金ランキング上位3人による鉄壁のリーダーボードを作って終わった。

「最後決めたかった、というのはありますけど、この経験がモチベーションになると思います」。



先週のカシオワールドオープンでは、中島との賞金王争いに敗れた。

今年は2月にアジアンツアーを初制覇した。
海外志向が人一倍強い金谷にとって、賞金1位と2位には、来季メジャーやPGAツアーや、欧州・DPワールドツアー昇格へのチャンスという意味でも、雲泥の差があった。


なんとしても、キングの称号は欲しかった。

「1ランク違うだけで、立場が全然変わってしまう。今年はずっと中島くんに追われて、追いかけて、先週まで相当にしんどかったと思います」とは、母校・東北福祉大ゴルフ部のトレーナーで、卒業後も兼任で金谷の体を看ている大坂武史さん。


「でも、それも先週で終わってしまいましたので。今週は非常に解放された感じに見えました」と大坂さんは言う。

本人も、開幕前に「肩の荷が下りました」と打ち明けていた。


「張り詰めたものがちょっとなくなっちゃった。目標がなくなっちゃったかな・・・」と語っていたが、最終戦の最終日も最後まで、ピンを狙うショットの気迫は止まなかった。


大会は1差の2位で終わり、蟬川に賞金ランキングでも抜かれて、3位に終わったが「最後まで諦めずにプレーした結果。最後まで本当に頑張りました。悔いはない」と、言い切った。


プレー後の総括で、「最後5連戦。賞金王がかかっていたのでプレッシャーがあった。そこで力を発揮できなかったのは、自分の弱さと思うし、それは日頃の積み重ねで、そういった部分で中島選手と比べると弱かった」と、自分を断じた。


賞金ランキング順の組み合わせで中島と蟬川と回り、中島に1差の2位発進した初日。
練習グリーンで調整を重ねていた金谷の後ろポケットから、大学カラーのメモホルダーが少しだけはみ出していた。

その隅っこに、プリントされた文字が見えた。


「失敗してもいい。大事なのは挑戦し続けること」。


女子ツアーで7勝を飾り、19年に引退してからは後身の指導にあたる大学先輩の佐伯三貴プロが、後輩たち全員にプレゼントされたものという。
金谷は、ずっと大切に使ってきたそうだが、実はもう2冊目。大坂トレーナーによると、ぼろぼろになっていたのに気付いたコーチが、大学の在庫から新しいのに取り替えてくれたという。


今週も、コースでポケットからメモを出すたびに、恩師からの言葉が目に入っていた。


「アマチュアの頃からずっと一緒に行動してきた中島選手と争えたというのは凄く嬉しかったし、彼の強さを今シーズンたくさん見せてもらった」と、金谷。
「このオフでまたしっかり練習して、来年ヨーロッパで勝てるように頑張りたい」。
一昨年にも転戦し、昨年は予選会にも出場した。
何度でも前を向く。金谷は挑戦し続けることをやめない。

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