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岩田寛が12年目に思うこと

岩田寛は今年もあの日、あの時刻に海に向かって静かに目を閉じた。


12年目の「3.11」。


「もう12年も経ったんだな・・・・・・」と、心でつぶやきながら、今も苦しみを抱える人々のことを思う。
「簡単に、言い表すことはできない」と、改めて祈る気持ちを強くした。


今オフは、先月までアジアンツアーを転戦したが、3戦とも予選落ちを喫した。
今週のタイも出場資格はあったが、あえてとりやめ2週後に迫った国内開幕に備えて地元で調整。

12年目のこの日も例年どおり、空港近くの仙台カントリー倶楽部で1日を過ごした。


あの日、あのとき沖縄合宿から帰る機上にいた岩田は、故郷の海と、滑走路を見下ろせるこのコースで、14時46分のサイレンに合わせて黙祷を捧げるのを常としている。


「故郷のために・・・」などと大それたことを、やすやすと口にするタイプではない。


それでも、昨夏は嬉しいことが重なった。

8月の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」で大会2勝目による通算4勝目を達成した翌日に、母校の仙台育英が、夏の全国高校野球で初制覇を達成。



二重の喜びに、故郷も沸きに沸いた。


自分が勝つことで、何が嬉しいかって「周りの人たちが喜んでくれること。嬉しさが倍増します。喜んでくださる人たちの顔を見て、幸せな気持ちになれます」と今季もまず、次の5勝目を目指して鍛錬を重ねる日々。


昨年の優勝者のうち、40代は岩田と、シーズン最終戦を制した大学先輩の谷原秀人の2人だけだったが「若手とか、ベテランとかよく分からない。自分のことしか考えていない」と、今も変わらずイペースを貫く。


「昔は、試合中にもハード目のトレ-ニングを週4でしていたけど、歳を重ねて今は軽めを週6に」と工夫を重ね、以前は「食べたい時に、食べたいだけ食べていた」という大好物のスイーツや、脂ものもぐっと我慢。
「コーヒーには必ずガムシロ2個」だったのを、今は苦みをこらえてブラックで飲み干すなど42歳なりに気を遣う。


2016年シーズン以来のPGAツアー再挑戦も胸にひそかに「今はただ、目の前のことを一歩ずつ・・・」。
12年目も幸せな1年になるといい。

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