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久常涼が欧州の長旅からいったん帰国「あぁ、日本人で良かったな…」ハタチの前途は希望でいっぱい

プロ2季目の今季から、欧州・DPワールドツアー参戦中の久常涼(ひさつね・りょう)が21日夜、帰国。約1ヶ月の長旅をいったん戦い終えた。



年内最終戦「モーリシャスオープン(12月15日ー18日)」は予選敗退だったが、すでに押さえていた航空便は替えの効かない19日の現地発。


しかも、キャディさんの分も合わせて約50万円の経費削減を見越したトルコ経由は帰路40時間。
うち、20時間は乗り継ぎ便の待ち時間だった。

「せっかくでしたので、航空会社の”10時間観光ツアー”に参加しました。朝・昼食付きで、モスクなどを巡るツアーでした」と、参戦初年度の今年は、移動時間のやりくりも試行錯誤中。


「ゴルフをしながらいろんな国を回れるのが楽しいです」と、国境またぎの4連戦を満喫してきた。


11月11日ー16日の欧州・最終予選のQスクールを7位で突破。
いったん荷物を詰め直しに戻ったわずか1日帰国のトンボ帰りで参戦した2023年開幕戦「豪州プロ選手権(11月24日ー27日)」では、いきなり2位の好成績をおさめることもできた。


「ヨーロッパは試合数がとても多いので、この1試合ではまだぜんぜん、シードは確定できませんが、良いスタートが切れたことは良かったです」と、好感触を掴むことはできた。


ちょうど転戦まっただ中で、出席はできなかったが12月5日の「ジャパンゴルフツアー表彰式」では、部門別ランキングのイーグル率1位で初受賞。

「特に今年はツーオンのイーグルが獲れた回数が多かったように思います。ロングホールで伸ばすという自分の持ち味を、結果につなげることができた1年。ヨーロッパでも、そういう自分のプレースタイルを活かせるコースがあると感じました」と、手応えの一方で、「ボールコントロールや芝質の違いにアジャストしていく力はまだまだ。慣れや経験がもっと必要ですね」と、しっかり課題も持ち帰った。


慣れない海外転戦で、頼りにするのは大先輩の“旅人ゴルファー”だ。

欧州で、4シーズン連続シードを継続中の川村昌弘と初めて出会ったのはプロデビュー前年の2020年だったという。


川村さん(左2)と、川村さんと僕のキャディさんと一緒に。これからも宜しくお願いします!


「僕がQTで失敗(1次敗退)してしまい、コロナもあって、これからどうしようというときに知り合いの方を通じて一緒にラウンドさせていただく機会があったんです。ゴルフをしながら楽しく旅を続ける川村さんのプレースタイルに憧れていましたので、いろいろお話が聞けたのは凄く良かった」と、翌年のプロ転向の大きな指針に。

「今年から川村さんと同じ舞台でプレーできるようになったことには非常に感慨深いものがあります」と、喜ぶ。


川村が南アフリカで遭った衝撃の強盗拉致事件の一部始終も本人から詳しく聞けた。

「自分も十分に注意しなくてはと思いました」と、抑止力にしながら「あれほど怖い目に遭っても“いい経験ができた”と言えてしまうのが川村さんらしいな、と…」。
厳しい環境下で逞しくも楽しく生き抜く先輩からもらえる刺激はハンパない。


今年9月の誕生日で20歳を迎え、かねてより掲げてきた10代での初優勝は、実現しなかった。

複数年シードなど、来季以降の日本ツアーを保証する特典は得られなかったが、どんな形にせよ今年中の海外進出は、昨季ABEMAツアーの3勝から、怒濤のレギュラー昇格につなげられた段階で、すでに決意を固めていたことだったという。


「とにかく、早く海外で活躍してみたかった」と、迷わず挑戦。

軽々と、次のステップを踏むが「ヨーロッパはやはり相当お金がかかります。挑戦させてもらえるのも支えてくださる方々がいるからこそ」と、感謝の気持ちを忘れず、「みなさんの期待にお応えできるよう、来年以降もシーズン通してしっかりと結果を残していけるように頑張っていきたいです」と、思いを新たにしている。


次の遠征は、出場可能な来年2月のUAE大会からになる見込みという。
年末年始はいったん地元岡山に帰省するそうだが新年早々に、また他の海外ツアーへの挑戦を計画するなど若者はじっとしてない。


積極的に空を飛び回る生活の中で、最近しみじみと感じるようになったのは“日本愛”だそうだ。

「日本のパスポートを見せたら、どの国もほぼビザなしで行けますし、日本人というと親切にしてもらえることも多いと感じます。そんなときに、あぁ、日本人で本当に良かったな…、と。もちろん、油断はダメですけども…笑」。
ハタチの前途に、またどんな出会いと希望が待っているか。


来年も頑張って

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