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神戸市立六甲小学校にてスナッグゴルフ講習を実施(3月4日)

震災の街から広がれ! スナッグの輪  ≫JGTO記事


ランチャー(アイアンに似せたスナッグゴルフ専用クラブ)を手に、駆け回る子供たち。今でこそ、笑いの絶えないこの神戸市立六甲小学校の校庭もあの日、傷ついた人たちで埋め尽くされていた。

1995年1月17日。

阪神大震災が、神戸の町を襲った。 同校校長の福本高志先生は当時、教諭として勤めていた神戸市立御蔵(みくら)小学校で、震災にあった。 そこでも、学びの庭は避難所に変わり、負傷者が大勢、運び込まれた。

壮絶な記憶―。



あれから10年以上が過ぎて、街もすっかり元の姿を取り戻しつつある。元気に遊ぶ子供たちに、復興の象徴を見る思いがする。しかし、その一方で福本校長先生には、あのときのつらい記憶とともに、置き忘れてきたものがあるような気がしている。

それは、「感謝する気持ち」。

震災直後は、自然とボランティアの輪が広がった。 近所同士で協力しあい、動ける者は自主的に人のために動き、そんな中でこんな言葉がさかんに飛び交っていた。 「ありがとう、って。みんな自然と声をかけあっていたと思うんです。でも、生活が元通りになるにつれて、そんな気持ちも薄れていってしまったような・・・」。


準備も後片付けも、自分たちの手で。そういう姿勢も、一緒に育てていければ・・・


いま、在校生は震災の記憶のない子供たちばかりだ。 それだけに、なおさら語り継いでいかなければならないことがある、と福本校長先生は考えている。

「たとえば今回、プロのご協力を得て開いていただいたスナッグゴルフの講習会も、私たち大人も含めてどこか“してもらって当たり前”という気持ちがないだろうか? 恵まれすぎて、見失っているものはないだろうか・・・。あのとき、苦境の中で自然と気持ちが湧き出たように、子供たちにも常に感謝の気持ちを忘れず、自ら進んで汗を流せる人になってもらいたい」。


「震災のとき、自然と湧き出した気持ち・・・スナッグを通じて、感謝の気持ちを取り戻したい」と福本校長先生


同校が掲げる目標が、まさに「友情と、礼儀と自主」。
スナッグゴルフが、その一助になってくれれば・・・。
福本校長先生は、祈るような思いで子供たちを見つめていた。


めざせ、スナッグゴルフ全国大会!!<神戸市立六甲小学校・編>  ≫JGTO記事


兵庫県・神戸市灘区の閑静な住宅街にある神戸市立六甲小学校は週3日、放課後に「六甲小スポーツクラブ」を開講している。

また毎月第1、3土曜には校庭を開放し、地域総合スポーツクラブの「六甲すこやかクラブ」を開き、保護者やボランティアの力を借りてサッカーやバスケットなど、さまざまなスポーツを子供たちに指導している。

3月4日(土)、この両クラブに新しい種目が加わった。 午前9時から行われた『第1回スナッグゴルフ講習会』には、「六甲すこやかクラブ」に登録している子のほぼ全員が参加していた。



「普段なら、こんなにも集まらないのに。それだけみんな、今日のスナッグゴルフを楽しみにしていたということでしょう」と、目を細めるのは平井正裕・教頭先生だ。

日本ゴルフツアー機構が、日本ゴルフツアー選手権の特別協賛社である森ビル株式会社の支援を得て始めた「スナッグゴルフ・コーチングセットの寄贈計画」。

その一環として、全国の小学校に新たに寄贈の公募をかけたのが、昨年11月だった。 多数の応募の中から、厳正な審査のうえ今回は8校が選ばれた。

そのうちの1校が、この六甲小学校だった。 決め手となったのは、審査の基準として同校にも提出していただいた「スナッグゴルフ活動計画書」の中の、この一文だった。


プロとの直接対決! 轟プロ(左端)に挑戦したのは4年生の大村君(中央)


<・・・本校は、日本ゴルフ発祥の地、神戸市灘区六甲山にある「神戸ゴルフ倶楽部」のふもとに位置し、開講120 周年を迎える歴史ある小学校です(中略)ルールを尊重して活動を行うことにより、本校の目標である「友情・礼儀・自主」の力を身につけさせていくことを目指します・・・>

平井教頭先生は、校舎の裏手にあたる六甲山頂を指差して言われた。 「ほら、ちょうどあのあたりです。あそこに、神戸ゴルフ倶楽部がある。“発祥の地”を背にして、ゴルフを知らん、ではなんとも寂しい。わが校にもスナッグゴルフを導入し、ここからぜひゴルフ人口を増やしていこうではないか、と。それが、応募の動機だったんです」。

今年の1月28日に晴れて寄贈校の決定が下った。 実際にコーチングセットが届いてからは、さっそく体育の授業や放課後の「六甲小スポーツクラブ」にも取り入れられて、幾度となく“試打”が行われてきたが、本格的にプロの指導を仰ぐのはこの日が初めてのこと。


4年前にゴルフを始めたという平井教頭先生は、ベストスコア85。「私も子供たちと一緒に勉強します!」


女子プロの轟悦子さんをコーチ役に迎え、終了時間が迫るころには快打を放つ子が続出した。

講習会の最後には、轟プロと平井教頭先生と、4年生の大村宏輝君でスナッグゴルフ対決。 パー3でプロが3、平井教頭先生が4、大村君は5でホールアウトした。


大村君は、パーで上がったプロの腕前に目をむいて「次はもっと頑張るで!」と、張り切った。

平井教頭先生は7月、茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブで行われるスナッグゴルフの全国大会に、早くも照準をあわせた。

5月下旬には、その予選会である『兵庫県大会』が行われる。 「ゴルフ発祥の地を代表して、ぜひエントリーしたい」(平井教頭先生)。 今のうちに骨のある子を発掘し、新学期にはクラブを立ち上げ、大会までの約4ヶ月でみっちり集中練習を積む計画だ。


※スナッグゴルフの全国大会は、日本ゴルフツアー選手権が行われる週の7月1日(土)、同じ会場の茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブで開催されます。

※「スナッグゴルフコーチングセット寄贈計画」への公募により、寄贈が決定した小学校はこの六甲小学校を含む以下の8校です。寄贈校には順次、ティーチングプロを派遣して講習会を行っております。


<寄贈小学校8校>

大田区立入新井第二小学校(東京都大田区)
東海市立船島小学校(愛知県東海市富木島町)
田辺市立会津小学校(和歌山県田辺市)
宝塚市立西谷小学校(兵庫県宝塚市)
神戸市立六甲小学校(兵庫県神戸市灘区)
赤磐市立軽部小学校(岡山県赤磐市)
広島市立青崎小学校(広島県広島市)
高松市立鬼無小学校(香川県高松市鬼無町)


※日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズカップの、特別協賛社である森ビル株式会社の支援を得て、当機構より寄贈されたコーチングセットは、本年度の全国公募8校、宍戸ヒルズカントリークラブ近隣の11校を含めて現在、計83校(団体含む)。 スナッグの輪は確実に、全国へと広がりつつあります。