記事

大山どりカップ 2021

3つの言葉を胸に勝ち切った成冨晃広

首位と2打差を逆転しての嬉しい初優勝を手にした成冨晃広。この日はヤーデージブックに3つの言葉を書き込んでいた。
1つ目は『冷静』、2つ目が『心』、最後の言葉が『勝つ』だ。
成冨はAbemaTVツアーでの最終日最終組は初めてだが、これまでも地方オープンなどで優勝争いは経験している。ただ、最終日最終組でのプレーで全く結果を残せていない自覚があった。
「最終日のプレーが本当にめちゃくちゃ下手で、結局9位とか10位に終わってばかりで悔しい思いをしていたので、今日は勝ててめちゃくちゃ嬉しいです」。
今シーズンはゴルフの調子は悪くないものの、近々の3試合では連続予選落ちに終わっていた。その要因の一つがパッティング で、今までのように構えていたらテークバックが上がらなくなってしまったのだ。それでアームロックタイプを使うなど、色々と試行錯誤した結果、左足に極端に体重をかけて構えるスタイルを今週本格的に取り入れた。
「本当にヘッドが動かなくなってしまって。きっと、それもメンタルが弱いせいだと思います。でも色々と試して、それで先週の雷山でも少し今の打ち方を試したんです。その構えだとヘッドが上がるようになったので、格好悪い変な構えですけど、とにかくなんとかせんとと思って」。
自分では優勝は不思議と意識しなかったと話しているが、なりふり構わず勝ちに拘っていたことは間違いない。3つ目の言葉の『勝つ』は、もちろん試合に勝つという意味だが、そこには自分自身に勝つという意味も含まれている。明るく、周囲を楽しませてくれるキャラクターだが、その反面で神経質な一面があることも自分自身が理解している。この勝ちも一つの通過点でしかない。今はゴルフが本当に楽しくて、好きだと断言する成冨にとって、この勝利がさらなる成長の起爆剤になる予感がする。

関連記事