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無観客、完全セルフプレーで気づかされたのは日ごろの感謝

感染防止のアイーン©JGTOimages
出場96選手による、完全セルフプレーで行われた本大会。初日の感触から変更した選手もいて、最終日に自分でバッグを担いで歩いた選手は8人、電動カートでプレーした選手は88人だった。

感染予防の一環として、カートの充電は、ラウンド終了ごとに選手各自でバッテリーと充電器を持ち帰り、宿で満タンにして持参してもらった。
懸念されたのは”うっかりさん”だが、初日に数人のバッテリーの持ち帰り忘れと、最終日に宿に充電器を宿に置いてきた選手が1人いただけで、そこは予備で対応したり、後日の宅配便で対応するなど、大きな混乱はなかった。

1台の故障や1人のケガもなく、無事に終了した。
期間中に、選手のアンケートを実施し、意見を聞いたがJGTO競技担当理事の田島創志は、感染症の予防策も含めて「満足という回答が多かった」と、終了後のリモート会見で公表した。

カートは毎日、スタッフが夕方に徹底除菌。
クラブハウスのレストランやロッカールームなど、多数が手を触れる箇所も丁寧に拭き上げ、翌日に備えた。

会場の出入口は一か所に決め、選手と全スタッフは朝の入場時に毎日、検温センサーを通過。発熱の有無をチェックし、問診票にサインをして、検温済みシールをもらい、必ず見えるところに貼り付ける。

ロッカーは、1列に3人までの使用とし、女性用スペースもお借りして、できるだけ広く間隔を取ってもらった。
レストランや、人が多く集まる場所は、1席分空けて座るようにテープで目印して密を避けた。

選手と関係者の全274人に事前のPCR検査も実施し、開幕までに全員の陰性が確認できたことで、アンケートでも「安心してプレーができた」と、回答した選手が多かった。

「この大会の感染症対策はフルパッケージで行い、選手、関係者、すべての陰性者のみで活動しました。ここからフィードバックして、刻一刻と変化していく状況にも対応すべく、必要・不必要をこれから精査していきます。今後の試合においても主催者様にお示しできるガイドラインを作成して、開催にむけてお話合いをさせていただきたい」(田島)。

無観客で行うかわりに、インターネットによる完全生中継を実施し、久しぶりの試合で選手たちも、カメラの向こうにファンのみなさんがいてくださることを実感できた。

そしてそれは、いつもそばで支えてくれるプロキャディのみなさんの存在に対しても同じだった。
2日とも雨模様の天候には、余計にセルフプレーの不便と、キャディさんへの日頃の感謝を訴える選手ばかりだった。

田島は開幕前日の公式会見で、「少しでも感染リスクを減らすためにこうしなければいけなかった」と、セルフプレーを採用した今回の経緯を説明する中で、「しかし日頃から、選手やJGTOを支えてくださっているプロキャディのみなさんには本当に申し訳ないことをしました」と、涙で声を詰まらせる場面も。

「無事にツアーが再開できた時はまた、みなさんの助けが必要です。これからも、選手へのサポートをよろしくお願いします」と、頭を下げた。

また、2日間ともバッグを担いでのセルフプレーで通した47歳の宮本勝昌は、「僕はいつも、ハウスキャディさんにお願いしていますが、通常営業とは違い、ピりピリしたトーナメントの空気の中で、ハウスキャディさんがいつも本当に頑張ってくださっていることに、改めてありがたさを感じました」と、話した。

日頃の感謝が心に沁みる2日間競技となった。
  • 石川はジュニア時代を思い返して担ぎ!©JGTOimages
  • カートの充電、お忘れなく。©JGTOimages
  • 食事もソーシャルディスタンス
  • また、いつか一緒に歩ける日を願いながら。©JGTOimages

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