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「ABEMA×NEXTヒーローズ」/ 遼とさくらとコブクロと

小袋秀人の18番は©JGTOimages
女子ゴルフは再び「さくら」がみごとに咲いたが、男子ゴルフは「同期のサクラ」の話題を少し。

コロナ禍で、すっかりご無沙汰のカラオケだが、やっぱり十八番(おはこ)も名曲「桜」。
「去年の優勝で、自信がつきましたし状態もいいので、4月の開幕が待ち遠しい」。
ゴルフ界のコブクロが、満開の2021春を待つ。

レギュラー昇格を駆けた主戦場「AbemaTVツアー」で、明日を夢見る選手たちにスポットを当てるシリーズ「ABEMA×NEXTヒーローズ」。

小袋秀人(こぶくろ・ひでと)は4月の20ー21シーズン再開を、賞金ランク4位で迎える29歳。

父の影響で、物心つく前からクラブで遊んだ。幼少期から多くの試合を経験し、茨城県の鹿島学園高校から日大に進学。
2011年の日本学生では同学年の松山英樹らを抑えて優勝した。翌12年の「日本アマ」では比嘉一貴(ひが・かずき)を決勝で倒して日本一にも輝いた。

だがプロ初優勝は、ようやく昨年。
AbemaTVツアーの2020最終戦「ディライトワークスチャレンジ」で、プレーオフ2ホールを制した。
5打差の大逆転Vも、鳴り物入りのデビューから8年を要した。

学生時代にどんなに輝かしい成績はあっても「プロでやっていく自信が持てなかった」。
ミスを恐れて、長所を発揮できずにいた。
「どんなにいいプレーをしていても、最後は自滅してしまう」。
膠着状態に、昔なじみとの再会が風穴を開けた。

91年生まれのプロで「同窓会コンペ」を開いたのは5年前。
久しぶりに石川遼と、伊澤利光の甥でプロゴルファーの伊澤秀憲と話し込んだら、小学時代からの友情が再燃。

「ゴルフの話になったら食事をするのも忘れるほど3人とも“ゴルフバカ”。お腹はすいたけど、店に入る時間がもったいないね、と。コンビニでいいよね、と。買いに寄って、そこらへんで食べて、ゴルフの話なら、3人でどこでも何時間でも喋れた」。

互いに「自分にない感性を持っている」と認め合い、自然と練習する機会も増えた。
コロナ前はよく一緒に合宿もした。

練習中でも3人でゴルフ談義が始まると、白熱しすぎて誰も近寄れない。
「前に後輩から言われたのが、『異様な空気で声をかけることもできなかった』と(笑)」。

長短を指摘し合い、持ち味の向上につとめてきた。

「コブ(小袋の愛称)は爆発力もあるし、あとはタイミング。今年は絶対に行ける」と、2人揃って太鼓判を押してくれたのは、昨オフ。
「2人が言ってくれたとおりに結果を残すことができた。自信を持って、プレーできるようになった。去年のABEMAでの初優勝は、2人のおかげ」と、感謝する。

昨2月には伊澤が計画したジュニアレッスン会に、小袋も石川と共に喜んで参加。

「僕らの頃は自由に練習できる場所がまだまだ少なかったよね、と。もっとプロと触れ合える機会もあれば、世界で活躍する子もきっと増えるよね」と、ゴルフ界の未来を思う気持ちでも一致。

「特に遼はジュニアの頃からプロの世界で結果を出し続けて、今も日本を背負って立っている。尊敬しかない。同じ年代に生まれて間近で活躍を見て来られたことを、光栄に思います」と、小袋。「早くシードを獲って、一緒に盛り上げていきたい」と、満開の春に向かって思いは高まる。

時々、レギュラーツアーに行くと、よくベテランの谷口徹にイジられる。
試合中でもライブに駆け付けるほど、谷口がファンを公言しているのは、同じ”コブクロ”でも、歌手のほう。
「あちらはお2人で”コブクロ”だけど、僕は1人でコブクロ(小袋)です。祖父に聞いたら、もとは鎌倉の小袋谷(こぶくろや)のあたりの出身だったって。そういう名字の人間が、ゴルフにいるって知ったらどう言ってくださるか。いつかぜひお会いしてみたい」。

今はコロナで控えているが、カラオケに行けば必ず歌ってと言われるのもコブクロさんの歌。
リクエストに応えて選曲するのは、あの大ヒット曲。
「いつも『桜』を…。全然、ヘタですけど」。
今は名もない花だけど。
「活躍をして、いつかコブクロさんの前でも歌わせてもらえるように。今から、もっと練習しておきます」。
まずは名前を知ってもらいましょう。
  • 左から小袋、石川、伊澤の順番。なんでこんなポーズになったんだっけ??
  • 語りだしたら止まらない。彼らのおかげで僕がいる。

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