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帰ってきた飛ばし屋! 額賀辰徳(ぬかがたつのり)がドライビング王奪還

飛ばし屋日本一の称号とともに、シード権も取り戻した!
すらりと183センチの長身に、スーツ姿がよく似合う。「この時期にゴルフウェアではなくて、スーツが着られたのは本当に久しぶりで」と、ほころんだ端正な笑顔は本当に嬉しそう。

「いや、もう本当にこの時期に、ゴルフをしなくていい、QTに行かなくていいということにホっとして・・・。本当に、久しぶりにリラックスした12月を過ごせる」。

12月7日月曜日に行われたジャパンゴルフツアー表彰式は、華やかな式典の影で毎年、来季のツアー出場優先順位を決める予選会「ファイナルクオリファイングトーナメント(ファイナルQT)」と日程が重なり予選4日、決勝2日の計6日間は、冬の寒さも手伝って、本当にシビアな1週間である。

たとえ部門別ランキングで1位に輝いても、来季の出場権が確保出来ていない選手は、いやが上にもこの長丁場に臨まなくてはならない。

額賀もそんな苦しみを幾度となく味わってきた。2009年にせっかく初シード入りを果たしても、翌年にはあえなく陥落。2011年にはチャレンジトーナメントで賞金1位に輝いて、2012年のシーズンチケットを取り返しても、2013年にはシード権の復活には及ばなかった。

「特に去年はつらかった。チャレンジトーナメントにさえ出られず、諦めて、他の道を考えたこともある」。いよいよ頭をよぎった“転職”も、ギリギリのところで踏みとどまれたのは、何より家族の存在だった。

「僕も2人の子どもの父親になり、責任感が増していく中で、やっぱり自分にはゴルフしかない、と。ゴルフで頑張ることが僕の使命なんだ、と」。どん底まで落ちた二児の父が、一念発起。

地元茨城県のつくば市で、体を鍛え直した。たとえ試合週でもきつい負荷トレーニングを欠かさず、食事制限で体を絞った。酒を断ち、30歳を迎えた自分にムチを打ち続けた。

前向きな気持ちと一緒に持ち味も、よみがえった。成績も不振を極めた一時期は、影をひそめていた飛ばし屋日本一の座。今年は、アメリカのチャン・キムと、豪州のウォンジョン・リーのいずれかとの大方の予想を良いほうに裏切った。

2年連続の受賞を果たした2010年と、2012年に次ぐ自身4度目の称号を取り返してみせた。
「ウォンジョンとは普段から冗談を言い合う仲」と、たまに同じ組で回ることになっても、互いにライバル心は隠さず、そんなふうに遠慮無くやり合える仲間がいるからこそ、新たな記録は作られる。

ウォンジョンも、チャンもいずれも2人の怪物を振り切って、今季平均298.92ヤードは、堂々の1位に返り咲き、ニッポン男児を代表する飛ばし屋としても、タイトル奪還に安堵した。

「ここ2年はずっと海外勢が続いていた中で、もう一度、戻って来られたのは嬉しい」。賞金ランクは61位で、堂々シード選手にも返り咲き、満を持して挑む2016年も、もちろん飛距離にこだわっていく。
「飛ばして、バーディたくさん獲って、良いところはどんどん伸ばして、その中でもフェアウェイキープ率とか、来年はもう少し意識して、安定感とか、もうワンラックもツーランクもアップしていけるように、頑張りたい」。

帰ってきた未完の大器が、今度こそその才能を満開に花咲かす。

※ドライビングディスタンス賞を受賞した額賀には、一般社団法人日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィーと、PGAホールディングス株式会社の田中耕太郎・代表取締役社長より賞金30万円が贈られました。

そのほかの部門別ランキングでは、金度勲(キムドフン)がイーグル率を受賞。豪州のマシュー・グリフィンは、サンドセーブ率で1位に輝きました。

今年は米ツアーに参戦、岩田寛は1ラウンドあたりのバーディ獲得数を計算するバーディ率賞で、4.04を記録して1位に。
また47歳のベテラン谷口徹は、代名詞といってもいい平均パット数で、1.7295を記録して、2006年以来4度目の1位に返り咲き、それぞれ存在感をみせました。
岩田と谷口には、一般社団法人日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィーと、株式会社平和の嶺井勝也・代表取締役社長より、それぞれ賞金30万円が贈られました。
  • 12月のこの時期に、堂々と登壇できることが何よりの喜び
  • トッププレーヤーと肩を並べて・・・。後列右から額賀、岩田、谷口。前列右から新人賞のヨンハン、賞金王のキョンテと優作。いい笑顔
  • 国内では今季1勝。バーディ率賞受賞で、存在感をみせた岩田。来季はますますアメリカで大暴れだ!
  • 近頃は、若手の指導にも熱が入る! 今年は特に、谷口にショットやパットを教えてもらったという選手が次々と活躍して話題を作った

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