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第3回サンクフル主催者ゴルフ懇親会を開催

今年のおもてなしは就任3年目の集大成となる。「この3年の最高傑作にしたい」。そのために並々ならぬ思いで今年も大事な1日を迎えた。次週には最愛の祖父・直芳さんの大事な初盆を控えているというのに選手会長は、相変わらずほとんど実家にも寄りつかずに駆け回っていた。「おふくろがさ、あんたは家にいないほうがいいんだ、って。外で元気に頑張っているほうがじいちゃんも喜ぶんだからって。そう言うもんだからさ」と苦笑いで今年も下準備に奔走した一大イベント。

史上最年少での就任を果たした2013年に池田勇太がひとつ積年の夢を実現させたのが、この「サンクフル主催者懇親ゴルフ会」である。一番最初の“発案者”でもある。前の選手会長で、今は日本プロゴルフ協会の会長をつとめる倉本昌弘は今年も招かれる側として駆けつけ、花を添えてくれた。
「本当は、各主催者を回って僕ら選手がご挨拶に伺うべきところを、こうしてお忙しい中を今年もみなさん一同に介してくださった」と3度目の開催にこぎつけて池田も感慨深い。8月9日日曜日に、今年も千葉県のカメリアヒルズCCで、プロが主催者の皆さんと和気藹々のラウンドでおもてなし。日頃の感謝の気持ちを直々にお伝え出来るまたとない機会である。

その前日には立秋とは名ばかりの8日(土)に行われた前夜祭の会場として今年、池田が選んだのがあのミシュランガイドの五つ星。東京目白の「ホテル椿山荘東京」は、年頃の女性たちの永遠の憧れでもある。結婚式を挙げたいホテルのアンケートで、毎年のように1位に輝く。三重の塔が厳かな「圓通閣」など、由緒ある史跡が点在する庭園は、もはや都会の森と呼んでもよくこの日も眼下に何組もの新郎新婦の晴れ姿があった。

中でも池田がこの日の宴会場に決めたプラザ棟4階の間「ジュピター」は大理石の回廊を抜えるとまず左手にその絶景が目に飛び込んで誰もが一瞬息をのむ美しさ。ただゲストを招いて漫然と食事をしてもらうだけの宴なら要らない。
「皆さんには今年の暑さを忘れてしまう程の楽しさを味わって頂きたい」という池田の心憎い演出は、18時ちょうどのドアオープンの直前の、ウェルカムドリンクのときからすでに仕掛けがされていた。「この景色を見ながら飲むお酒はきっと最高だと思う」と、暮れていく東京の夕陽をバックにグラスを傾けるひとときも、美味しいおつまみになるという池田流のおもてなし。さらに、このあと振る舞われたお料理は、同ホテルの村田眞吾・名誉総料理長が手がけた最高級フレンチのフルコース。昨年は、ゴルフ懇親会のランチを手がけてくださった巨匠が今年は、前夜祭から腕によりをかけてくださることになったのだ。

前菜の冷製スープには、日本に初めて伝来した当時と同種のジャガイモをわざわざ取り寄せるなど、素材にもこだわり抜いた村田料理長のお料理を前に、今年も笑顔の輪が広がっていく。主催者のみなさんとのおしゃべりも自然と弾む。たった一人の力では、これほどの宴席を設けることは不可能だった。「今回は藤田観光株式会社様の全面協力のもと、この前夜祭の会場をこのホテルに移し、改めて瀬川章社長にお礼を申し上げたい」とここでもまた池田の感謝の気持ちが止まらない。

選手会長の熱い思いを汲んで、今年は38人もの先輩後輩プロも集まり、協力を惜しまなかった。「今年もプロのみなさんが、この会場をひとつにしてくださった」(池田)。翌日のゴルフの組合わせ抽選会の後は、いよいよこの日のパーティの超山場だ。
今年も業界最大手の第一興商さんから無償で提供していただいたカラオケ機器を前に、覚えのあるプロゴルファーたちが、次々と“のど自慢”で盛り上げた。
今夜限定! 宮里聖志、優作の兄弟デュオ。迷わず選曲した地元沖縄の「島人(しまんちゅ)ぬ宝」は、合間に志村けんさんやアントニオ猪木さん、五木ひろしさんの物まねを挟み込むオリジナルバージョンがばかうけだったし、続いて宮里兄弟にステージに、予告もなしにいきなり引っ張り出されたのは薗田俊輔。「苦手な下りのフックよりも緊張する」と、震える手でマイクを握ったわりには、サザンオールスターズの「真夏の果実」をしっとりと歌いあげてこれまた主催者のみなさんの喝采を浴びたところで、ついに真打ち登場だ。
昨年の栗田貫一さんに続いて今年もまた、スタッフにさえ直前まで名前が伏せられたサプライズの特別ゲスト。スポットライトを浴びて登場したのは演歌歌手の角川博さん。郷ひろみさんや美空ひばりさんの歌まねを挟みつつ、見事な声量でオリジナル曲を歌い上げて場を盛り上げていく様はまさに、正真正銘のエンターテナー。本来の“営業”を蹴ってまで、駆けつけてくださった角川さんにも、池田は感謝の気持ちを禁じ得ない。
「この会も3回目でお馴染みのお顔もたくさん見えるな」と、目を細めたのは青木功だ。池田がこの会を開催すると聞いた3年前は、先陣を切る者の苦労を察しつつ青木は言った。「ゴルフ場と主催者と試合がなければしょせん、プロもただの人だ」と諭され、改めて気を引き締めなおしたことを、池田は今もはっきりと覚えている。
「おかげさまでこの会を愛してくださっている主催者の方も、たくさんいらしてくださって」。
加えて厳しいご意見とともに、毎年この場でこうしてスポンサーのみなさんの声を直々に聞けることに、苦労以上のやりがいすら感じてきたが、会長職は3年目の今年がひとつの区切りと池田は決めている。

「男子ゴルフを変えたい」と、前代未聞の立候補による就任から早3年。デビュー当時は「若大将」と呼ばれた池田も今年の12月には30歳を迎えてこれからは、後進に伝えていくという立場になった。「おまえがやってきたことを、若いやつらに引き継いでいかなくちゃなんねえぞ。これから10年、20年と受け継いでいかなくちゃいけないんだ」と、青木との掛け合いは、今年の選手副会長の優作も交えたあたりからますます熱を帯びていった。ずらりと居並ぶスポンサーのみなさんの視線を浴びながら、壇上で真剣に今後の展望を語り合いながら、いよいよ翌日に迫った懇親ゴルフの成功こそ、強く胸に誓った池田だった。
  • かねてより親交の深い村田総料理長のフレンチは絶品
  • 沖縄が誇る兄弟デュオ?! さて、聖志が披露しているのはどなたの物まねでしょうか!!
  • 圧巻の歌唱力。角川さんの熱唱
  • 青木のゲキに、残りの任期も全力でつとめることを誓った池田

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