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孔明の“あの1打”は・・・?!

今年、悲願の“天下”を獲った孔明。年越しのカウントダウンが始まった今、改めて、激動の1年を振り返るにつけても、「一番、心に残った1打はやっぱり、あれですね」。
今季2勝目を飾った11月のブリヂストンオープンは、賞金1位と2位の激しいデッドヒートが繰り広げられた。

当時、同1位を走っていた藤田寛之は、初日に66位と出遅れたにもかかわらず、気が付けば最終日を2位と3打差の首位で出た孔明の、もうすぐ背後に迫っていた。
改めて思い知らされたこの選手の怖さと強さ。「このまま勝たせたら、藤田さんの独走を許すことになる」。背筋が寒くなるような恐怖の中で、懸命に自分を奮い立たせた。

それにしても前日3日目には余計なことを言ってしまったものだ。
「藤田さんは目の上のたんこぶ」。その発言が、大先輩の心に大火をつけてしまったのは明らかだった。
「まじでやばい」と後悔しても、もう遅い。腹をくくった。
「ここで負けるわけにはいかない」と強い覚悟で迎えた最終ホールは、藤田と並んで迎えた18番で、“あの1打”は生まれた。

うっかり、右のバンカーよりさらに奥にひしめく大観衆の中に打ち込んでしまった3打目。深いバンカーを挟んで、歩測にしてピンまで「25歩」のアプローチは「ここに落とさないと、寄らない」と、ピンポイントで狙ったロブショットは、「10回打って、1回寄るか寄らないか。気持ちだけで打てた」と今振り返っても、鳥肌が立つような会心の1打だった。
いま、もっとも強い40代を振り切ったこの1勝で、再び賞金1位に返り咲いて逃げ切った。初戴冠の決定打ともなった今季の名勝負のひとつとなった。

8日月曜日にパレスホテル東京で行われたジャパンゴルフツアー表彰式で、賞金ランキング賞と平均ストロークと、ゴルフ記者賞と、そして最優秀選手賞を受賞した孔明。

東建コーポレーション株式会社の川本隆司・社長室長より賞金100万円と、全日本空輸株式会社の志岐隆史・取締役執行役員より副賞として、「ANA国際線 ビジネスクラス ペア往復航空券」を受け取れば「今日からはぐっすり眠れる。お腹も全快しました」と、ちょっぴりゲンキンな孔明。
最後までもつれた賞金王争いで、今季最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の前には、本人いわく「ストレス性」の腸炎に悩まされたことも、眠れぬ夜を過ごしたことも、まばゆいスポットライトの下ではあっという間に吹き飛んでしまった。

今年の活躍を契機に、石川遼に、「米ツアーで戦う孔明さんが見たい」と言われて改めて、来季には、さらに増えるであろう海外メジャーの機会を思って身が引き締まる。

そして同時に、愛する日本ツアーへの思い。
来季は、3試合増の計27試合。石川や、松山に負けじと「海外での戦いで、ますます実力をつけていきながらも、日本ツアーをますます盛り上げていけるように。みんなと力を合わせて頑張っていきたいです」。

・・・来季のジャパンゴルフツアーに引き続き、暖かいご声援を宜しくお願いいたします!!

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