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2015年のテーマは改過自新! “マスター横田”が復活を期す

ちょうどこの日2月6日に43歳になった横田真一。恥をしのんで参加した。「40歳を過ぎて、初めて参加した合宿は若手ばっかりの中で・・・恥ずかしいですよ。恥ずかしいけど、それでも勇気を振り絞ってやってきました」。

「JGTOゴルフ強化セミナーin宮崎フェニックス・シーガイア・リゾート 〜オリンピックを目指して〜」は、通称“宮崎合宿”。2月2日から5日間の日程で行われた今年2回目の開催は、ちょうどその“最終日”に誕生日を迎えて、フェニックスカントリークラブでの実技講義のスタート前に、スタッフからバースデーソングのお祝いを受けて“ヨコシン”は嬉し恥ずかし。「でもこの5日間は、非常に充実した時間を過ごすことが出来ました」。

恥をしのんで、参加した甲斐は大いにあった。廣戸聡一先生の「フォースタンス理論」は2013年から通う順天堂大学の大学院医学研究科で、研究を重ねてきて「同じ理論を共有しているからさすがに話も早い」とは、確かにそうだが奥深い世界には、学んでも、学んでも、新たな発見が尽きない。

「廣戸先生とそのお弟子さんたちが、これだけ一つのところに集まって、これだけ長い期間一緒に過ごせることもないから。このタイプのヒジの動き方はこうだったよね、とか」。徹底したおさらいと同時に、「トレーニングの仕方にしても、これからはもっとジャンプ系を取り入れてみようとか」。

特に2日目に特別講師として駆けつけた青木功は、横田と同じタイプの体の動かし方をするレジェンドだから、なおさら“ヨコシン”の目からはウロコが落ちっぱなしだ。
「廣戸先生は今回の講義の中でも、“ジワジワ上手くなるんじゃなくて、びっくりマークがつくんだよ”って仰ったけど。僕はまさに、びっくりマークの経験を、これまでに何度も味わわせてもらってきましたので」。

出会いは2006年。左手首の深刻な腱鞘炎で、手術をするしかないと言われて絶望していたころ。廣戸先生に言われた。
「横田くんはそのグリップだからダメだ」。言われるまま握り直すと、あらあら不思議。「手首がグニャグニャになって、自由自在」。手術もしなくて良くなって、「それこそ、青木さん並みの柔らかさになっちゃった」。13年ぶり2勝目の復活優勝をあげた2010年のキヤノンオープンも、その前夜には廣戸先生に整体の施術を受けたら「翌日にパっと勝てちゃって」。

以来、絶大な信頼関係で結ばれた“師弟関係”も、そこからさあ次の3勝目、とはいかずにますます研究のほうにのめり込んでいくというのがまた、何事も突き詰めていく横田らしいといえばらしいが、「試合が終わってから大学院の授業に出るとか。そういう生活が続いて怒濤の忙しさ。だんだんトーナメントに対する集中力もなくなって、惰性になった」。

そんなわけで、せっかく取り戻したシード権を、再び失ったのは2013年。昨年はツアーも5試合しか出られなくなって「さすがに寂しくなった」。大学院の修士論文の仕上げに追われながらも出させてもらった11月の自身の昨季の最終戦「カシオワールドオープン」では「優勝争いに近いところでやって9位に入れた」。

勝負師のスイッチが入った。「やっぱり現役はいい。ツアーはいい、華やかで」。もうひと花もふた花も、咲かせてみたくなった。「久々にまたやったろうかなと、そう思えた」。
その直後の12月のファイナルQTは、6日間の長丁場を勝ち抜いて、ランク19位に入った。2015年ツアー前半期の出場権を取り返したことにも背中を押されて「もう一回、いちから廣戸先生に教わってみよう」と、恥を忍んでやってきた今回の宮崎合宿は、想像していた以上にハードなトレーニングに、夕食のバイキングではあえて「おかゆ」を選んで腹を満たした。

「激しい運動をして、交感神経が優位になると、活性酸素が増えて、消化器系がダメージを受ける。だから出来るだけ消化のよいものを」。昨年のファイナルQTでも、6日間ともおかゆで通したのも、同じ理由からだ。箸をつける順番にもこだわる。「最初は野菜から。ご飯も出来れば玄米がいい」。
徹底した食事管理は晩酌の量もぐっと減らして「今までの10分の2に。回数にするなら週に2回まで。体にいいと言われたことは何でもやりたい」と、自らを実験台にして、積み重ねてきたそれら日頃の研究データを今年こそ実戦で、最大限に生かすつもり。

このオフは恒例の家族サービスも返上して、自分を見つめ直すことにも多くの時間を割いている。「年末には久しぶりに、身の回りの大掃除もした」。“断捨離”で、身も心もスッキりした。「整理整頓することで、心の整理も出来た」。ここ数年を省みて、2015年のテーマも定まった。
“改過自新(かいかじしん)”は「今までの自分の過ちを改めて、新たに再出発すること。ついでにこれはシャレだけど、“開花自信”の年にもなればいいな、と。まだ根拠はないけれど、今年の俺はなぜか必ず大丈夫だって思える。自分に期待している。やる気のスイッチも入って、それが一番、大事なことのような気がする」と、今年の“ヨコシン”は闘志に満ち満ちている。

今月13日には、新年早々に受験した大学院の博士課程の合格発表も控えている。みごと“サクラサク”なら新学期から、少し余裕も出来て授業も研究時間も今までよりは自由がきく。今年は悔い改めて“本業”にも精を出し、4月からの開幕は修士課程修了直後のツアー通算3勝目なら、将来の“ドクター”にもハクがつく。「プロゴルファー初の医学博士になるのが夢」という横田。「2019年には博士課程も修了して、そうすれば、翌年の東京オリンピックではいろんな意味で、何かと仕事もあるかな、と」。
2015年は、“マスター横田”がひょうひょうといく。

  • 廣戸先生になら、安心して体を任せられる
  • 43歳になったばかりの体もよく動く!

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