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今年は勝つぞ! 2014年のツアープレーヤーNO.1の竹谷佳孝

2015年は、少しつらい1年となった。地元山口県の宇部鴻城高校は野球部時代のひどい腰痛から始まって、今は首、背中、左肘、両手首と、169センチの身体は至るところに痛みを抱えて、まさにケガのデパート。2014年の日本ゴルフツアー選手権で、当時34歳が感動のツアー初Vで、5年シードを得たのは良かったが、生来のど根性は初シードを獲得したからには、休むということを知らず、無理がたたったかもしれない。

満身創痍で、それでも賞金ランクは43位に食い込み、複数年シードにも甘んじることなく、しっかりと賞金シードを守って戦い終えた。

「オフの今も正直、練習量はセーブするしかない。シーズンが終わってからは、ラウンドも2回しか出来なかった」。それでも先月末のシーズン初戦「SMBCシンガポールオープン」は、やっぱり出場したかった。

初優勝時についてきた特典「世界ゴルフ選手権ブリヂストン招待」の出場で、初めて海外でメジャー級の大舞台を踏んで、味をしめた。たとえどんなに打ちのめされても、実際にその場所に立って、壁の高さを経験してみること。現場を味わってみることの醍醐味を知れば、出場権すらままならぬ時代には、自分には絵空事と思えた舞台も、「チャンスがあるならこれからも、何度でも経験してみたい」。

シンガポールには、あのジョーダン・スピースも来るということだった。「凄く良いコースだと聞いたし、行くべきだ、と」。結果は予選落ちでも、世界一と同じフィールドに立てたことは本当に良かった。
そして今週は宮崎である。JGTO主催の強化合宿「JGTOゴルフ強化セミナーin宮崎フェニックス・シーガイア・リゾート」も正直、今の体ではキツいなんてものじゃない。

「いやほんと、今年はプールでの実習も加わって、メニューも年々ハードになっているので。シャレにならないくらいに、キツいです」。合宿の総責任者である、JGTO理事の鈴木規夫には、あらかじめ体の状態は伝えていて、メイン講師の廣戸聡一先生はじめスタッフのみなさんは、わざわざ竹谷のために負担の少ない特別メニューを作ってくださっていたのは本当に有り難かったが、「それでもやっぱりキツい」と、連日悲鳴をあげながら、若者たちと汗を流している。

「もうシードも3年目なんだから。宮崎は行かなくてもいいんじゃないの?と言ってくる人もいます」。竹谷自身も、確かに、この強化セミナーには「オリンピックを目指して」というサブタイトルがついているからには、「やはりもっと若い選手にこそ飛び込んでもらいたい場所」と、思っている。

昨年からこの強化セミナーでは高校ゴルフ連盟の協力を得て、将来有望なジュニア選手も参加するようになった。今月8日から5日間の日程で始まった、今年2度目の合宿では先週の「レオパレス21ミャンマーオープン」に挑戦した高校2年生の金谷拓実さんと、岡崎錬さんも帰国したその足で合流して、竹谷らプロたちと共に鍛錬を積んでいる。

「この合宿で得た知識が、若い彼らの将来にも必ず役に立つ日が来ると思うと、ゴルフ界の将来のためにも、こういう場を提供していただけることは、本当にありがたい」。ゴルフ界の将来を、ひそかに案じる中堅プロは、「毎年、こういう素晴らしい場所をご提供してくださるスポンサーのみなさんにも感謝したい」。

今年、自身はリハビリを兼ねた4年連続の参加には、多少の心苦しさもあるが、「参加するからには、僕も本気でやります。4年目の今年もまたここに来たからには,必ず得るものがあるはずだし、厳しいトレーニングを通じて、僕みたいな選手もまだこれだけ頑張れるんだ、と若い選手に少しでも見せられればいいなあと、思いながら取り組んでいます」。

2016年もケガとの戦いは避けられないだろう。「でも、今年は勝つという強い気持ちを持って試合に臨もうと思っている」と竹谷。昨年11月のダンロップフェニックスでは初日に首位に立ちながら、17位タイに終わるなど、たびたび優勝争いに加わりながら、次の2勝目を掴みきれずに終わってしまった。
戦いの場で、体の故障など言い訳にはならない。「ただ、気持ちが足りなかったんだろう、と」。深い反省の念をこめて、今年もま体にムチ打ち、新シーズンに備える。

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