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井上信は「スミマセン・・・」(全英オープン初日)

全英オープンの日本予選最終戦の「ミズノオープン」でシード権の奪還に目星をつける3位につけた。井上にとっては、そのおまけのようにくっついてきたこの初のメジャー舞台は、「そんなに甘くはなかった」。いよいよ迎えたこの日初日はスタートの1番こそティショットでフェアウェイをとらえ、右奥にパーオンして無難な幕開けに「ゴルフの調子も良いから」と、楽観するのは早かった。

歯車が狂い始めたのは3番ホールだ。ティショットのミスで、ボールは深い右バンカーのあごにくっついた。「1回で出なくて」。慌てているつもりはなかったけれど、今思い返せばやはり、あれは平常心ではなかった。このボギーをきっかけに「取り返しのつかないことになった」と、次の4番ではトリプルボギーを打って「追い込まれちゃって」。3パットも3回するなど、雪だるま式にミスを重ねていった。

最終18番でも奥からアゴの高いバンカーから1回で出なかった。ボギーの幕切れに井上は、謝ってばかりいた。「一緒に回った人に、申し訳ない」。ホールアウト後は、スコア提出場の裏の取材エリアの通称“ミックスゾーン”に呼ばれて恐縮しきりだ。
「ほんと、スミマセン」と、なぜか報道陣にまでも頭を下げて謝罪した。

「ほんと1個のミスが、大変な事態になる」。それがリンクスコースの恐ろしさ。「しかも、ノーバーディだし・・・」と、ぽつりと7ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギーは83と、惨憺たるスコアに「15年前のデビュー戦みたいになっちゃった」と言って浮かべた自嘲の笑みが、せつない。

初のメジャーで11オーバーの幕開けは、「今さら予選通るとかは無理なので」。初出場のこの難コースで盛り返せるとは、まさか思えず「せめて明日は赤い字を出して回りたい」。ひとつのバーディも取れないままでは、帰れない。

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