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JGTOは連覇ならず―。

なでしこが強いのは、サッカーだけではなかった。日本が誇る6人のサムライも、今年の女子には歯が立たなかった。我らがJGTOは、女子のLPGAに8ポイント差もつけられ連覇を逃した。

前半のファーストステージで、すでに女子に1.5ポイントのリードを許していたからなおさら後半は、ひとつでも早く勝ち点を加えておきたいところを最初の3組が、揃いも揃ってシニアと負けポイントの1.5を分け合う戦況では、とうてい太刀打ちできるはずもない。

今年のワールドカップの代表ペアは、前半はオルタネートのダブルス戦こそ絶好調だった。「今日はあのとき以上のパフォーマンスが出来た」とは、池田勇太。哲兄(てつにぃ)と慕う平塚哲二と、女子は大山志保&笠りつ子ペアに、出だし3連続バーディを食らっても、2人合わせれば百人力。シニアの水巻善典&白浜育男にも4アンダーの圧勝も、しかしバラバラになるとあっけなかった。

「前半は勇太とものすごい簡単にプレーができたのに」と首をかしげた平塚。「1人になると、むなしくなった」と、後半のシングルス戦は、またもや大山選手に出だしの3連続バーディを食らっても相棒がいなければ今度こそ、鉄の男もキャインと鳴いた。

大山選手の4アンダーに対してシニアのフランキー・ミノザと揃って1アンダーと伸び悩んで手も足も出なかった。そして次の池田も、女子の馬場ゆかり選手に上がりの連続バーディを許して、シニアの白浜育男と1.5ポイントを分け合い、池田も平塚にならって「俺らは2人のときに、頑張りすぎたね」と、しょんぼりとつぶやいた。

「2人でつぶれてくれた」と得意満面は、女子の佐伯三貴プロ。その言葉に気色ばんだのは、我らがキャプテン近藤共弘。「三貴、言葉を選べよ!」と、怖い顔でたしなめてみても、シニアの室田淳と揃ってこれまた4アンダーの圧勝を許せば、説教にもならない。佐伯プロは前半と合わせて最多タイの6ポイントゲットで今年のMVPに輝けば、男どもの抗議ももはや遠吠えにしか聞こえない。
「確かに、僕は室田さんと揃ってぐずぐず。結果がすべてなんで」と近藤も、うなだれるしかなかった。

若きヒーローも、こてんぱんにやられた。石川遼は、昨年も横峯さくら選手に大敗した記憶があった。「去年のことは思い出したくもない」と、振り払ったつもりでいたが、ダメだった。やっぱり“さくら”は強かった。

そこにシニアの芹澤信雄が、加勢したからたまらない。「始まる前は遼くんと、私の勝負という感じだった」と横峯選手も言ったように、芹澤はスタート前から「僕はせめて15本目のクラブは口で」と、“口撃(こうげき)”に徹して若い2人に抵抗するつもりでいたが、「芹澤さんには15本目のクラブも必要なかった」と、最後も4アンダーをマークした横峯選手と揃ってバーディ合戦は圧巻の5アンダーも、石川はといえば奥のバンカーに打ち込んで、2人に割って入ることすら出来ずに今年は一度も勝ち点3を持ち帰れないまま終わってしまった。
「最初は僕が一番意気込んでいたけど。ボコボコにやられて最後は一番テンション下がって終わっちゃいました」と、肩を落として上がってきた。

思い返せば、男子の誤算は恒例のスタートセレモニーから始まっていた。小林浩美会長も揃って“ラブ注入”が、ばっちり決まった女子チーム。さあ、次は男子の番。一人ずつ名前を呼ばれ、もうもうとたかれたスモークの中から勇ましく飛び出して、順番に仁王立ち。出揃ったメンバー5人は腕組みをして、若きヒーローの登場を待っていた。最後に出てきた石川が悟空役。昨年も披露した「かめはめ波」の寸劇でばっちりとその場を締める、はずだった。そこでどっと観衆の笑いを取るはずだった。

しかし、司会進行役の次のアナウンスが思いのほか早くて、タイミングを逸した。「あれが出来んかったのが、悔しいです」とは、小田孔明。「来年は、司会の人ともばっちり打ち合わせをして臨もう」との意見で一致した6人は、「それにしても、今日のベストパフォーマンス賞は、裵相文(ベサンムン)」と、男子で勝手に賞を作って頷きあった。

シングル戦の最終マッチは各ツアーの賞金王対決。しかし、すでに女子の優勝は揺らぎのないものとなっていて、悔し紛れに裵相文(ベサンムン)のいたずら心がうずいてしまった。
最後の18番で短いバーディパットを打つ前に、バッグから取り出したのはなんと、ドライバー。対戦相手は母国の大先輩・金鐘徳(キムジョンドク)のお株を取った。ドライバーを、金のトレードマークの長尺パターに見立てて、その独特な打ち方から、構え方からなにやらを、そっくり真似して見事にバーディを沈めてみせた。

我らが誇る賞金王のなりきりぶりが男子チームにはことのほか可笑しくて、連覇を逃したことも、女子に8ポイント差の完敗を食らった悔しさも、ついでに朝はみんなで考えたとっておきのパフォーマンスが不発に終わったことも、それですっかり吹き飛んだ。
我らが賞金王が、男子の鬱憤を晴らしてくれた。「シニアと女子と回れるなんて年に1度。楽しかった。また出たい」と最後はみんな、笑顔で口を揃えた。

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