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初日の結果は・・・

初日は14日のフォアサムマッチプレーは惨敗と言ってもいいだろう。欧州対アジアの対抗戦「ザ・ロイヤルトロフィ」は前半の9ホールこそ、分けていい雰囲気だったのだ。しかし、ブルネイ国王の命令で、午後から2時間は一切の活動を禁止され、人々が静かに祈りを捧げる 2時間の間に、戦況は一変した。

「前半は、向こうのほうが流れが悪かったんです」とは、中国の呉阿順(ゴアジュン)と先陣を切った藤本佳則。「でも後半は相手に流れを変えられた」というとおりに、10番から4連続バーディを奪われた。前日は13日に行われた組み合わせ発表で、キャプテンジョーが敵陣にひとつ、ジョーク混じりに尋ねたことがある。
偉大な兄の名をあげて「俺はジャンボと仲が悪いんだけど。モリナリんところはそのへんどうなの」。

エドアルドとフランチェスコの兄弟コンビが答えるまでもなく、欧州キャプテンがぴしゃりと言った。「それはトップシークレットだ。答えるわけにはいかないな」。しかし、初日にしてすでにその答えも出てしまった。
まして藤本は初出場の今大会で出発前に、食べ合わせが悪くておなかを壊した。前夜も、この日の昼食もほとんど何も食べられず、「集中力も出なかった」と、モリナリ兄弟に2アップを許して「僕らももうちょっと、パットが入ってくれれば良い勝負もできたのに!」。

確かに、欧州チームは特に、グリーン上が冴えていたと思う。この日の4マッチの中でも、早々にクラブハウスに引き上げてきた裵相文(ベサンムン)と石川遼は、「僕がずっと遼にごめんばっかり言ってた」。

サンムンが7番で大ダフリを打ったり、11番では左のジャングルに打ち込んで、ギブアップするしかなかったり、今季から米ツアーに参加して、燃え尽きたサンムンは早めの冬期休暇に入って「ここに来るまで全然練習していなかった」。そのせいも確かにあるが、対戦相手のゴンサロ・フェルナンデス・カスタノは世界的なパットの名手でもある。

その分、相棒のヘンリク・ステンソンのプレーに「負担がかかるのでは」との石川のひそかなもくろみも外れた。役割分担も明確に、5&4の大差で敗れた。

2組目のキラデク・アフィバーンラトと、ジーブ・ミルカ・シンのタイとインドのペアもまた、グリーン上に苦しんだ。タッチも、距離感もあわないながらもどうにか18番ホールまで粘ったが、最後はニコラス・コルサーツに長いバーディパットを決められて、万事休すだ。

そしていよいよ最終マッチの金庚泰(キムキョンテ)とY・E・ヤンは、さすが日韓戦でも、伝統のプレジデンツカップでも、コンビを組んだだけのことはある。ぴったりと息のあったゴルフで、ベテランコンビを追い詰めた。

プレーイングキャプテンのホセ・マリア・オラサバルと、バイスキャプテンのミゲル・エンジェル・ヒメネスは、46歳と48歳。開催前から「俺たちにはカートを用意してくれ」と訴えるなど、体力面の懸念もあって、最後はよれよれ。
まずオラサバルは引っかけも引っかけも、ボールはすぐ目の前でバウンドして、「これなら打ち直したほうがまし」と、今度はヒメネスが2打目を再びティーインググラウンドから打ったが、右のジャングルにボールは消えた。

その時点で、ベテラン2人はギブアップ。アジアは最後にどうにか、ポイントを持ち帰った。しかし、とは言っても、引き分けの0.5ポイントのみなど、お話にもならない。

キャプテン・ジョーは、悔しさをこらえて声を振り絞る。「初日で良かった」。確かに、この惨敗も、まだ致命傷にならないうちで良かった。
「力を落とさずに戦いたい」と、56歳が気力を振り絞った。
今さらメンバーたちに伝えることなどない。やるべきことは、もう皆わかっているはずだから。キャプテンとして出来ることは、あとは副キャプテンの梁津萬(リャン・ウェン・チョン)と、翌日のフォアボールマッチの組合せに頭を悩ませることぐらいしかない。あとはもう、選手たちの自覚に任せるしかない。
「負けているわけだから。明日から彼らも一生懸命、アグレッシブに戦うだろう」。
巻き返しを期した。

<初日の結果>
○ エドアルド・モリナリ&フランチェスコ・モリナリ 2&1 呉阿順&藤本佳則 ×
○ マルチェル・ジーム&ニコラス・コルサールツ 1UP K・アフィバーンラト&J・M・シン ×
○ ヘンリク・ステンソン&ゴンサロ・フェルナンデス・カスタノ 5&4 裵相文&石川遼 ×
− ホセマリア・オラサバル&ミゲル・エンジェル・ヒメネス A/S 金庚泰&Y・E・ヤン −
初日獲得ポイント:ヨーロッパ選抜(3.5ポイント)VSアジア選抜(0.5ポイント)

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