記事

【Handa Cup プロミシングゴルファーズトーナメント 〜アンダー30〜】 木村彰吾「まるで夢みたいで信じられないですね」

「自分だけの力では勝てなかった」。何か不思議な力が作用したのだろう。今日は強くそう感じさせられた1日だった。

1981年11月20日生まれの28歳で、大阪府出身。中学生まではサッカー少年で、高校入学と同時に友達と遊び感覚でゴルフ部に入部する。

その後、中央学院大学に進学するものの、自分で稼ぎながらプロを目指す事を決意し3カ月で退学。18歳で太平洋クラブ&アソシエイツ益子コースで研修生入り。

22歳の時には、研修生を募集しているゴルフ場を探し、現在の所属のスカイウェイカントリークラブに異動。
現在までの6年間お世話になっており、昼間はキャディとして働きながら、夕方からは技を磨く。「自由にやらして貰っていますし、練習環境も充実している。本当に良いゴルフ場ですよ。」

ただ、自分でも行き詰る時は来るもので、「なんかゴルフの落ち目というのか・・・。」
周りからはクオリファイングトーナメント(QT)を受けるように勧められたものの、気が進まない。

ミニツアーや研修会の賞金次第ではとも考えたが、それほど高くない賞金に、毎月のお給料は生活にあてなければならず、今年のQT受験は断念した。

なので、今年の一番の大きな目標が実は今大会。「僕の山場」と言わしめるだけあって、優勝賞金は500万円。しかも、自分が6年間在籍しているコースでの開催だ。
「行って良いところ悪いところが分かっているから、他の選手が打ち辛いというホールでも、広く見えている」と圧倒的に有利な状況に目を輝かせたが、出場までの道のりは険しかった。

今年の1月1日よりクラブフェースの溝に関連する規則が改正された。
ドライバーとパターを除く全てのクラブに適用され、溝の縁の鋭さの制限はロフト角25度以上のクラブが対象となる。
トップアマチュアレベルとその他のプロフェッショナルイベントでは2014年1月1日から施行になるが、トッププロフェッショナルレベルでは既に施行済み。

今回の「Handa Cup プロミシングゴルファーズトーナメント 〜アンダー30〜」でも新規則の適用クラブでなければならない。
しかし、QT受験を断念している事もあって、木村は適用クラブを所持しておらず、アイアンセットを一新せざるを得なかった。
「この出費は大きかった」というが、打ちやすいようにヘッドが大きめのクラブを選んで、今大会の予選会に挑んだ。

結果は、サニーフィールドゴルフ倶楽部の会場では「77」、房総カントリークラブ 房総ゴルフ場では「76」と、本戦出場にはほど遠い成績。
所属コースの方の推薦枠もあり、本戦には何とか出場できる事になったが、優勝は夢のまた夢。
「クラブ代と大好きなタバコがある程度買えるぐらい」を目標に挑んだ。

プレー中もその事で頭が一杯。実は最終日の18番のグリーンまで「少しでも順位を下げると賞金が安くなってしまうから(笑)。」と考えていた。

グリーンに上がって来た途端に、速報ボードが目に止まりある事に気が付いた。
「あれ!?ここでイーグルを取ると首位と並ぶんだ。」

途中スコアを落とした木村はボード圏外になっていたのだから無理もない。
むしろ、「ツアーやチャレンジで上位に来る選手で有名な人ばかり。雲の上の存在ですよね。」と上位陣の名前が売れている選手に圧倒されていた。
逆に、ここまで来ると開き直れるもので、逆に自分よりも下の成績で有名な人もいると思えるようになった。

最後の最後で優勝を意識して、確実にイーグルを取りプレーオフに望みをつないだ。

そして、5人でのプレーオフは他の選手が必死に優勝を狙いに来る中、4人を抑え見事にホストプロとしての役割を務めあげたが、その優勝の影には仲間の後押しもあった。

18番グリーン周りには大会関係者やコースのスタッフ、出場選手が見守っていた。
「みんな応援してくれていた。特に裕也(下向裕也)が。」

同じスカイウェイカントリークラブの所属で、いつもの練習仲間。
下向も連日の好スコアで最終日を4位タイでスタートしたが、スコアを落とし10位タイに。

普段からバカな事も言い合える仲の下向は、木村の優勝を誰よりも期待していたに違いない。
「選手もスタッフの方も、多分、木村が来る(優勝する)なんて誰も予想していなかったと思いますよ(笑)。ただ、あの3打目の時に裕也が『入れ!』って大きな声で叫んでくれた気がするんですよね。僕には聞こえたんです。友達の力って本当にデカイ」としみじみと友情のありがたさを噛みしめた。

思いがけずに手にした賞金500万円とチャレンジトーナメント『SRIXONチャレンジ』の出場権。
ノープランだっただけに、どっちのご褒美も重たすぎるが、とりあえず「10月に値上げが発表されているタバコだけは買いだめしておきます」と笑いを誘った。


  • 下向裕也(写真=左)とハイタッチ

    関連記事