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【Handa Cup プロミシングゴルファーズトーナメント 〜アンダー30〜】 5人のプレーオフをチップインイーグルで制す!優勝はホストプロの木村彰吾!

チップインイーグルでガッツポーズの木村彰吾
今日のスカイウェイカントリークラブは台風4号の影響からか強風が吹きつけた。
予選カットラインが5オーバーと苦しめられる中、さらに難しさを増した。

それが的中したかのように、アンダーパー17人の上位陣が軒並みスコアを崩す展開に。
一時は1アンダーで7人が並ぶ混戦模様を呈した。

いち早く首位でホールアウトしたのは山内雅人。
最終18番でバーディフィニッシュのトータル2アンダー。続く上位陣の上がりを待つ。

今日の18番は強いフォローの風。524ヤードのパー5も、楽々2オンして、スコアを伸ばす選手が相次いだ。
ここからがドラマの始まりだった。

首位に並びホールアウトした2人目は石川裕貴。
18番でこの日初のイーグルを奪い、プレーオフに望みを託した。

そして、10組の最終ホールのスコアが入った途端、スコア速報画面前に集まっていた選手達から、驚嘆の声が上がった。
「こいつらすげぇ。この展開やべぇな。」
木村彰吾と正岡竜二が揃って、イーグルフィニッシュ。速報画面はイーグルを表す赤い二重丸が並んだ。

そして、最終組からは6アンダーの単独首位でスタートした藤島征次が、執念でバーディをもぎ取り首位の座を死守した。

1973年以降、ツアートーナメントでも4人しかないプレーオフだが、今年初めて開催される『Handa Cup プロミシングゴルファーズトーナメント 〜アンダー30〜』で、ついに5人のプレーオフに。
混沌とした異様な雰囲気に包まれたクラブハウス。そこから5人の選手が18番ティに送りだされ、選手は18番グリーンに集まり固唾をのんだ。

まずは、ティショット。
石川、正岡、木村はそれぞれフェアウェイに。藤島は右のラフ、山内は左のラフ。
これで明暗が分かれたか、藤島は2打目をグリーンを左に大きく外し、斜面に落ちた。山内も木にかすめながら、今度は右ラフに。

木村もグリーン横のセミラフに、石川はグリーン手前のバンカーの左アゴに掴まった。セカンドショットを唯一成功させたのが、正岡だった。
狙い通りに、ピン横5メートルにつけイーグルチャンス。

決着はアプローチ勝負に持ち込まれた。

藤島の斜面から打ったボールは、グリーンに落ちるや否や勢いそのままにグリーンオーバー。
「風がアゲンストだったし、グリーンもあんなに早いなんて」と首をかしげたが、これで脱落。
最後のウェイティングの補欠選手として直前に出場機会が巡って来た藤島にとっては、「久々に優勝争いに絡めたし、来週につながった」と満足した表情だった。

次に、石川はバンカーの傾斜の強いアゴにあった為、スタンスが取れず、止む無く左打ちでバンカーから脱出を図った。
しかし、慣れない左打ちは空を切り、ボールを数十センチ動かしただけ。「あれは打てない」と本人も苦笑いでテレ隠し。
4打目の絶好のバンカーショットは、スライスラインに乗って転がったが、カップ数センチ横を通り抜けて止まった。
「プレーオフはPK戦みたいなものだし、良いプレーした人が勝つんですから。」と勝者を称えた。

そして、木村の3打目。このスカイウェイカントリークラブで6年間を過ごす木村にとって、「グリーンが早くても遅くても、どんな状況でもやっぱり他の選手よりは有利。」とこのコースは自分の庭。
下りのスライスラインの傾斜は頭に入っていた。いつもなら「寄せてバーディを取りたいなとか考えてしまって上手く行かない」ことが多いが、今日は無心でアドレスに入った。
「何も考えずに、自分の番が来たから自然と構えて打っただけ。」

すると、先ほどの石川の4打目と同じように、ラインに乗って近づいていく。
周りからは「行け!入れ!」という声が上がると、ボールは静かにカップに吸い込まれた。
本人もまさかのチップインイーグル。

生涯で一番大きなガッツポーズで、湧きあがる大歓声に応え、キャディとがっちり握手をした。
ここで正岡を除く3選手がピックアップ。

山内も「緊張したけど、プレーオフに残れただけでも良かった。徐々に順位を落とすゴルフだけは嫌だったから。あのイーグルにはビックリした。」と脱帽した。

正岡はざわめきが静まるのを待つかのように、ゆっくりラインを読んだ。「ショートしないように打とう」と自分の思う所に打った。
木村はこう振り返る。「実は僕のガッツポーズは、2ホール目のプレーオフに残れるという意味でのガッツポーズだったんです。今日一日、正岡選手と同組だったんですけど、正岡選手は18番で同じラインの同じ場所からイーグルを決めているんです。だから、必ず入れて来ると思った。」

そんなイーグルパットは、無情にも先ほどの再現とはならず、カップを外した。
「神様がもっと練習をしなさいと試練を与えてくれたんだと思う」と、完璧なショットでプレーオフを戦えた事に胸を張った。

史上稀に見る5人のプレーオフは、ホストプロの木村彰吾の劇的なチップインイーグルで幕を閉じた。


  • 山内雅人の3打目は右ラフから
  • 斜面から打つ藤島征次
  • 石川裕貴はバンカーからのアプローチ
  • 正岡竜二はイーグルパットを外し、天を仰ぐ

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