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マンシングウェアオープンKSBカップ 2003

『50台は未知の世界、上を狙い過ぎました』11番のホールインワンにも桧垣豪の心は晴れない

“ベシっ!!”
グリーンをグルリと取り囲んだギャラリーにもはっきりと聞こえるくらい大きな音をたて、桧垣豪が自分の太ももを思い切りはたいた。18番パー4。3メートルのパーパットを外したときだ。
「悔しい!! なんてもったいないことをしてしまったんだろう・・・」
この日アウトスタートの13番ホール終了時点で、なんと10アンダー。「このままいけば、ひょっとしたら50台も・・・」と思った途端に力が入った。

「いまだ経験したことのない未知の世界」への欲望が、桧垣のボールコントロールを狂わせる。制御できずに飛びすぎたり、チャンスパットでは、気持ちが強く前に出すぎたり。
14番で横3メートル、15番では奥4メートルのバーディチャンスがカップを蹴られた。
2ホールでの無念な思いを引きずって次の16番でボギー。そして最終18番だ。スプーンで脱出を試みたグリーン奥ラフからのアプローチを寄せきれずにボギーとし、不甲斐ないフィニッシュに自らを叱咤せずにはいられなかった。
結局、8アンダー64のコースレコード更新にも、ツアーで初のエース達成にも気持ちは晴れない。「上を狙い過ぎました・・・」眉間に刻まれた深いシワが落胆ぶりを物語っていた。
それでもこの日初日の好発進は、明るい兆しには違いない。一昨年前、初優勝で初シード入りを果たしたものの、昨年はショットの不振で賞金ランクによるシード落ち。「答えが見つからないまま、1年が過ぎてしまった」が、このオフ、コーチのケン・バーン氏(豪州)と1週間の合宿を組み、「自分の欠点と修正の方向性が分かってきた」。今季はこれまで1度も予選落ちなし。コンスタントに成績を残している。目標の「シード奪回とツアー2勝目」にむけ、好材料が揃ってきた。
写真=桧垣はツアーで初めてホールインワンを達成した記念のボールを、香川県から観戦にこられた谷本緑さん(左)にプレゼント。谷本さんは、前回会場の鮎滝CCの元・ハウスキャディさんで、昨年大会では桧垣のバッグを担いだこともあり、この日ははるばる観戦に来られた。今年はロープの外からの応援だが、「ホールインワンをされているだけに、最後、ボギーが続いたのはほんとうに残念だったと思います」と、桧垣の胸のうちをおもんぱかっていた。

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