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関西オープンゴルフ選手権 2009

上井邦浩が2位に浮上

相変わらず、気温30度を超える真夏日に「頭がぼーっとして……」。この日7バーディも、「自分が何個取ってるのか分からなかった」と苦笑いで指折り数えつつ、「それがかえって良かった」とも。
「余計なことを、何も考えないで済むから」。
気負わず、入れ込み過ぎず、「ただ本能のまま」にスコアを伸ばしたという。

そんな状況だからOBもまた、さほど気にならない。
13番で、「右のOBゾーンの、さらにまだ向こうに消えていきました」とあっけらかんとボギーにとどめた。

スイングのひらめきがあったのは、そのあとだった。
それまで若干、違和感があったグリップに微調整を加えると、たちまちフィーリングが良くなった。
暑さで朦朧とした意識の中でもはっきりと分かるほど「手応えが出てきた」という。

キャディのサポートも抜群だった。
バッグを担ぐ清水重憲さんは、谷口徹の“エース”だが、今週は谷口が出場を見送ったため、上井が1週間限定で“レンタル”。

プレー中のアドバイスはもちろんのこと、精神面でも大いに支えられている。
「ラウンド中も、僕をちょいちょい挑発してくるんでね」。

時にはどぎつい激励の言葉を盛り込んで、選手をやる気にさせてくれるのだ。

そして、毎日の“ラブコール”だ。
上井が初シード入りを果たした昨シーズンあたりから、何かと世話を焼いてくれるようになった谷口は、ほとんど毎日のように電話やメールを寄越してくる。

開幕前日の今週水曜日には、「土曜日に一緒にラウンドしよう、予約入れとくわ」とあたかも上井の予選落ちを予言するような文章を送ってきた。
そうはならないぞと踏ん張って、初日に4アンダーの6位につけると、その夜のメールで「キャンセルしといたわ」と、送ってきた。

「もちろんどちらも冗談で。それが、谷口さんなりのエールなんです。言葉が足りなくて誤解されやすいけど、本当は優しい人なんです」と上井。その気持ちをしっかりと汲み取っている。

はてさて、首位と1打差の単独2位に浮上したこの日2日目。
そんな谷口から、今日はどんな内容のメールが届くか……。
「きっと、“頑張って”と言ってくれると思います。そして、最終日には“おめでとう”と言ってもらえるかな?」。
スイングのアドバイスをしてくれたり、いつも何かと目をかけてくれる谷口に感謝の気持ちを添えて、ツアー初優勝の報告といきたい。

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