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久光製薬KBCオーガスタゴルフトーナメント 2004

プロ5年目の富田雅哉が2位タイ

「まだまだ、秀道さんの足元にも及ばないけれど・・・」
プロ5年目の富田雅哉が2位タイ

田中秀道の“弟分”が、好位置で決勝ラウンド進出だ。先週2週間のオフの間に、不調だったショットを修正して2日連続で、60台をマーク。この日2日目は5番で10メートルの長いパットを読みきってバーディを奪うなど、通算5アンダーの2位タイにつけた。

運命の出会いは9年前。富田が中京商業高3年のときだった。

キャディのアルバイトで行った岐阜県の瑞陵ゴルフ倶楽部。そこの所属プロとしてすでにいたのが、田中だった。

その年たまたま、富田がツアー外競技の岐阜県オープンで田中のキャディをつとめた。そのとき、富田のキャディぶりを気に入った田中が「じゃあ、今度はレギュラーでも担いでくれるか?」。そうして、ツアーで初めてタッグを組んだのが、95年のフィリップモリスチャンピオンシップ(現名称・ABCチャンピオンシップ)。田中が、ツアー初優勝をあげた大会だった。

最終日は尾崎将司、直道ら強豪との僅差の争い。最終18番パー5でバーディを奪って逃げ切った田中が、その場で泣き崩れた歓喜の優勝シーンは、今も忘れていない。

それは、高校入学と同時に漠然と胸に抱いた「プロになる」という夢が、初めてくっきりと富田の胸に刻まれた瞬間でもあった。

あれから9年がたち、昨年のファイナルクォリファイングトーナメント41位で、初めて本格参戦の資格を手に入れて、ようやくスタートラインに立った今年。開幕前に一時帰国した田中が所属コースにやってきて、3日間みっちりとスイング調整をしてくれた。今でも“師匠”と慕う大先輩も、いまや堂々のUSPGAツアープレーヤー。そんな選手がツアーの“門出”を控えた自分のためにわざわざ駆けつけてくれたことが無性に嬉しく、また「できるだけ早く、秀道さんに追いつかなければ」との思いを、強くさせられたものだ。

「一緒に練習させてもらえるだけで光栄なのに・・・。俺なんかまだまだ、秀道さんの足元にも及ばない。優勝なんてとんでもないです」と謙遜するが、今年プロ入り5年目。田中の初優勝も、ちょうどプロ5年目のことだった。

あのとき、キャディとして味わった感動を、今度は富田が選手として味わう番だ。

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