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谷口徹が奈良県のジュニアゴルフスクールに参加

今度は谷口がサンタになった。12月24日のクリスマスイヴ。中学時代までを過ごした故郷の子供たちに、愛と元気を届けに行った。

毎年この時期、奈良県の天理市にあるナパラゴルフクラブ一本松コースで開かれている、奈良県ゴルフ協会主催の「奈良県ジュニアゴルフスクール」。

谷口が女子ツアープロで、同県の高等学校ゴルフ連盟顧問の杉本真美さんに「地元出身のトッププロとして、ぜひ特別講師に」との依頼をふたつ返事で引き受けてから、今年で5年目。

今年は地元の小、中、高校生の総勢42人。毎年参加しているジュニアの中には、全国大会に出場するほど腕を上げている子もいて、その成長ぶりを見るのも大きな楽しみのひとつである。

まずはクラブハウス内で行う「谷口徹のゴルフセミナー」の講義内容も、年々自ずとレベルアップしていく。今年のテーマは「勝つための準備をしよう」。その中で谷口がオンオフ問わず、実践しているトレーニング法を紹介した。

2002年と2007年の賞金王が、床にひいたマットに無防備に寝そべった。もう11年の付き合いになる。専属トレーナーの秋山武雄さん直伝のメニューを、子供たちのために惜しげもなく披露した。

見よう見まねで谷口の動きにならった藤原涼雅くん(西大寺北小5年)が、目を丸くした。
「谷口プロって、体が凄く柔らかい!!」。股関節回りのストレッチでは、両足をほぼ180度に開脚出来る。「僕もプレー前は体操するようにしていますが、こんなに本格的なのは、初めてです」と藤原くん。
汗をかきかき、「まだまだとてもプロと同じようには出来ないけれど、頑張って出来るようになりたい」と、張り切った。

去年の講義では、ツアーの「タイムパー」について話をした。18ホールを消化するために立てられた、いわば“理想の時間割り”。
「プロがいつもどれだけの速さでプレーしているか。教えていただいてから、どの子もラウンドのスピードがとても早くなりました」と喜ぶのは杉本プロ。「今回も体作りの大切さを思い知って、みんなさっそく実践してくれると思います」と、その効果に期待を寄せる。

ストレッチで十分に体をほぐしたら、次は待ちに待った実践レッスン。42歳が子供たちの挑戦を受けて立つ。1番ホールを利用して、ドライバーショットにバンカーショット、グリーン回りのチップショットにパッティング。

まずは、今年10ヤードも平均記録を伸ばした飛距離で子供たちを凌駕すると、難しいライからべたピンのバンカーショットに胸を張り、長いスライスラインは自分よりも近くに寄せた子供たちにも、惜しみない拍手と賛辞を送った。

杉本プロが、年々思いを強くしていくことのひとつは「谷口プロの子煩悩ぶり」だ。いつも次第に熱を帯びていく手取足取りのレッスンで浮かべる笑顔は、「普段のツアーでは、絶対に見られないものですね」。

この日の奈良は強い風も相まって、体感気温は10度を優に下回った。寒風吹きすさぶ中で丸2時間。ぬくぬくとしたクラブハウスに戻ってから、みんなで仲良く頬張った。昼食のカレーのうま味がいっそう腹にしみ渡る。

キャベツにトマト、緑鮮やかなキュウリ。コースのご厚意で添えられた。色とりどりの野菜サラダも「食べられない」とこぼす子に、「ドレッシングを追加して食べてごらん」と説得する様子は、まさに子煩悩な父親のそれだった。

最後に子供たちを代表して、プロにお礼のお手紙を読み上げてくれた春田侑美さん(帝塚山小4年)。
「谷口プロも、今日は本当は9月に生まれたばかりの桃子ちゃんたちご家族とゆっくり過ごす御予定だったのではないでしょうか……」。イヴの予定を気遣いながら、色紙いっぱいの寄せ書きと、ピンクのバラのアレンジメントを贈ってくれた。子供たちのけなげな心遣いが嬉しかった。

谷口からもまた、契約先でもあるマンシングウェアのゴルフグッズをお土産に手渡しながら、子供たちと約束した。「今日、僕が教えたことを毎日練習してください。そしてまた来年、成長した姿を見せてください」。
プレゼントを配り終えたサンタクロースはしばしの別れを惜しむように、子供たちに向かって大きく手を振った。

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