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ダンロップフェニックストーナメント 2007

丸山大輔が3位タイ浮上

火曜日の正午に予選ラウンドの組み合わせが発表されたとき、つい首をかしげずにはいられなかった。金庚泰(キムキョンテー)と、石川遼くんと同じ組。

ツアー史上最年少優勝の16歳と、数々のアマタイトルを引っさげて今年プロデビューの韓国の新星は、「日韓注目の若手選手の筆頭で、その間に挟まれるのがなぜ僕なんだろう?」。

そんな疑問をぬぐいきれないままいざ本番を迎えたが、そんな謙虚さこそ好スコアの要因となった。
集まった大勢のギャラリーは、確かにほとんどが石川くん目当てだったかもしれないが、「僕のこともちゃんと応援してくださって。マナーの良いギャラリーの方ばかりで非常にやりやすかった」と振り返る。

まして、この日3日目は通算6アンダー3位タイ浮上に「久々に、大勢のお客さんに囲まれて良い緊張感もあったから。遼くんには感謝しています」と、頭を下げた。

丸山にとっては、これが国内最終戦だ。
このあと、アメリカに戻ってファイナルQスクールに挑戦する。
参戦2年目を迎えた米ツアーは序盤から苦しんだ。
9月中旬までのフェデックスカップでペースが掴みきれず、シードは秋のフォールシーズンに持ち越された。
結局、賞金ランクは準シードぎりぎりの149位に終わったが、最後の7戦で感触をつかんだ。

特に、残り3戦で「根性を出した」。
フライズエレクトロニクスオープンで6位タイ。
さらに翌週のギンシュルメールクラシックで16位タイにつけて首をつないだ。

特に飛ぶわけでもない。
「かっこよいプレーが出来るわけでもない」。
それでも、確実にフェアウェーをキープして、チャンスをものにする。
「1打1打を大事に、最後まで諦めないゴルフならば自信がある。自分はそういうゴルフをすればいんだ、と」。

シーズン中盤に一度は気持ちが折れかけた丸山だったが、土壇場に自分の持ち味を思い出せたことで、再び戦う気力が沸いてきた。

ひとまず先週にいったん帰国して国内2連戦。
現在、日本ツアーの賞金ランクは66位。ここで母国ツアーの出場権をがっちりと確保して、再び旅立つ。
行ったり来たりの超ハードスケジュールは、やはり米ツアーを戦うもうひとりの丸山も呆れるほどのマイペースぶりで克服だ。
丸山茂樹は「大輔は、俺が時差ぼけで苦しんでる横でいつまでだって平気で寝てる」と苦笑したが、それこそが過酷なフィールドを戦い抜く秘訣。
特に渡米した翌日は「1日半くらいは平気で寝てる」という破格の睡眠時間で解消する。

「普段から、寝ててもいいって言われたらいつまでだって寝れるタイプなんで」と笑うが、そうはいっても1月の開幕からフルシーズン戦い続けて体はぼろぼろだ。
「丸山さんにも“大ちゃんは本当に元気だね〜”と言われたけれど。実際は、気持ちだけで持ち堪えているような状態。ファイナルが終わったら、倒れちゃうかも」と冗談交じりに微笑んだ表情には、異国の地で揉まれてきた逞しさがにじみ出ていた。

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