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東建ホームメイトカップ 2008

伊藤修司「家族を養っていかなくちゃならないから」

石川フィーバーの陰で生活のために、懸命に闘う選手がいる。伊藤修司、35歳。当時ハンディキャップ0の父の影響で12歳からゴルフを初め、名門・日大へ。ひとつ上には片山晋呉、宮本勝昌、横尾要。同期には今野康晴がいる。「自分も、当然の成り行きのように」2000年にプロ転向を果たしたものの、甘くなかった。

生涯獲得賞金は235万5400円。
シード権はおろか、出場権もままならず、昨年は出場優先順位を決めるクォリファイングトーナメントも3次で失敗。今季も出番がほとんどない。

このジャパンゴルフツアー開幕戦は、コーチの江連忠を介して知り合った福嶋晃子プロの父・久晃さんの紹介を受けて、主催者推薦での出場。
開催前に、大会主催の東建コーポレーションの左右田鑑穂(そうだかんすい)・代表取締役社長に言われた。
「予選くらいは通ってくれよ」。

この言葉を胸に大雨が降りしきる中、執念で決勝ラウンドに駒を進め、この日3日目は強風にもしぶとく粘り、通算2オーバーの12位タイにしがみついた。

「風を意識しすぎて後半は、体が止まっちゃった」と4つボギーを打ったものの、「自分としては、頑張ったほうなんです」と胸を張った。

やはり推薦で出場した2005年のこの大会は13位タイ。
「コースとの相性が良いみたい」と、自信をのぞかせる。
当時、新婚ホヤホヤだった真由美夫人との間に長男・英翔(えいと)くんをもうけ、「家族を養っていかなくちゃならないから」。
一家の大黒柱としての自覚も支えだ。

大会は16歳の快進撃に湧いているが、自分もボヤボヤしているわけにはいかない。
「明日は、とにかく上を目指します」。
応援に駆けつけてくれた家族に、さらなる上昇を誓った。

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