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サン・クロレラ クラシック 2009

山下和宏は6アンダー2位タイに「これが普通」

後半の5番パー4で、冷や汗をかいた。奧のカラーからのバーディパット。ちょうど勢いが衰え始めたころ、ラインを横切るように歩いてきた昆虫に、ボールがぶつかった。

4ミリほどの固い甲羅にわずかにはねて、ボールはやや右に進路を変えて「外れた!」と一度は落胆したが、その激突がかえって良かったようだ。

ボールは無事カップイン。
元気に歩き去っていく虫に感謝して、そのあと6番、7番でも決めて、3連続バーディを奪い、5アンダーにした時点で、以前の山下なら安堵して、残り2ホールで守りに入っていただろう。

今週、開幕目前。
叱り飛ばしてくれた人がいた。
名前は明かせないというが、大会を主管する日本ゴルフツアー機構のスタッフに、何気なく「長くゴルフが出来れば僕はそれでいいです」といったようなことを、打ち明けたときだった。

怒気を含んだ声で言われた。
「お前は、シードさえ取れればいいと思ってないか?」。
殴りかかられんばかりの勢いで「なぜお前はトップを目指さない?」。
容赦ない口調に目が覚めた。

念願の初シード入りを果たした今季は、これまで8試合で予選落ちなし。
トップ10入りは2度。安定したゴルフで獲得賞金はすでに1200万円を超えて2年目のシードもほぼ確保して、それで満足していた自分がいた。

「甘い部分があった。久々に説教されて、もっと上を目指していくべきだ、と気づかされた」という。

この日は、最後まで攻める気持ちを失わず、最終9番も奧から3.5メートルのバーディで締めた。6アンダー2位タイの好発進に、いつもは謙虚で温厚な選手が「これが僕の普通なんだ」と、あえて高飛車に気持ちを高め、「まだ4分の1が終わっただけ。明日も明後日も、明明後日も攻め続ける」と、気合いを入れた。

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