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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2009

宍戸の靴磨き職人の夢とは…!?

池田を挟んで左が西森さん、右が大村さん。西森さんは、「将来は、ゴルフシューズも作ってみたい」と話す。
この日最終日に最後までラックに残っていたのは、真っ白な皮のクラシカルなゴルフシューズ。主はこの日のリーダーだ。靴磨き職人の西森真二さんが、願いをこめて丹念に磨き上げた。

おかげで、塵ひとつついていない。
「僕が磨いた靴で、優勝していただけたら嬉しい!!」。
祈るような思いで、選手がやってくるのを待った。

都内で靴磨き専門の「天草製作所」を運営する西森さんが、大会冠スポンサーのUBSの依頼を受けて、宍戸ヒルズのロッカールームの片隅に、靴磨きサービスを開いたのは昨年から。

2年目の今年も選手に大好評で、持ち込まれる靴は昨年の3割増。スタッフの大村賢哉さんとともに、大会を通じてのべ125足を磨いた。

3日目まで雨模様が続いたが、スパイクの隙間に入り込んだ泥はひとかけらも見逃さず、仕上げの乾燥もぬかりなく、新品同様に仕上げた。

それも最終日を迎えたこの日はほとんどはけて、いま、最後の一足が引き取りを待っていた。

西森さんたちが今か今かと待つ控え室に、「おはようございます!」と、大きな声で入ってきたのは池田勇太だ。

キャディやマネージャーが代理で引き取りに来る選手も多い中、池田は毎日自らここにやってきて、律儀に頭を下げた。
「おかげで仕事がひとつ減って助かりました。毎日、キレイにしていただいてありがとうございます!」。
西森さんは、「頑張ってください」と、心をこめて靴を手渡した。
その池田が初優勝を逃してしまったのは、西森さんたちにとっても残念だったが、そんな触れ合いを通してまたひとりお気に入りのプロが増えたと喜ぶ。

こうした形でゴルフトーナメントに携わるようになってから、靴作りへの意欲もわいてきた。
西森さんは近々、オリジナルのシューズを製作して売り出す計画もあると言う。
「ゴルフシューズも作ってみたい。その靴を履いた選手がもし優勝したら……。職人として、最高の瞬間ですね」。

そのうち、ここ宍戸で西森さんが作った靴を履いて、栄光を掴む選手が誕生するかもしれない。

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