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日本オープンゴルフ選手権 2009

今季絶好調の山下和宏が首位

今季はこれまで7回のトップ10入りを果たし、最終日最終組も3回経験した。何度も優勝争いを繰り返すと、疲労の度合いは普段以上だ。
「気持ちが高ぶるし、いつもの力以上の力が出たりして、通常よりも消耗することは多いと思う」。

その影響からだろうか。
今週月曜日に、左の肩甲骨の裏に、激痛を覚えた。
身動きすることもままならず、翌火曜日は大事なプロアマ戦を控えていたが、無理を言って休ませてもらった。

体育の日の祝日に急患で医者にかかり、安静につとめた。
ツアーに帯同するJGTO専属トレーナーの献身的なケアでどうにか症状は和らいだが、火曜日までの丸2日間は、ラウンドはおろかクラブすら握れなかった。

今週、タッグを組むプロキャディの石井恵可さんの「僕がしっかり下見しておきますから」という頼もしい言葉を信じて、本戦前日の水曜日にようやくコースに立ったが230ヤードほどしか飛ばず、思わず苦笑いがこぼれたほどだ。

だが、蓋を開けてみれば首位発進。
「体の調子が良くないから欲張らないのが逆に良かったのかも」と笑う。
前夜の「ひらめきも良かった」という。

首位と3打差で最終日を迎えた先週のキヤノンオープンで、ショートアイアンがやたらと左に引っかかった。
今週になっても相変わらずの症状に、ホールアウト後の練習場でデジタルカメラで動画を撮って見てみたら、「以前よりもフェースがかぶっていた」。
この日は朝の練習場からさっそく気をつけてスイングしてみたら、たちまち抜けが良くなった。ショット全般の調子も良くなった。

さらに、前夜の雷雨も「僕にとっては天の恵み」。
ほどよく湿ったグリーンは、「非力な僕でもボールが止まってくれるから」。
天候も味方につけて「初日から、このポジション取りは最高ですね」。
本人も納得の好スタートだ。

シード元年の今年は開幕から好調をキープしており、この勢いで「初優勝を」という気持ちは一杯だ。
「今年、勝てないとダメだとも思っている」。
このゴルファー日本一決定戦は、地元・大阪府立島上大冠高時代から、幾度となく観戦に訪れた憧れの舞台で、夢が叶えば最高だ。

しかし、気負うのはまだ早すぎる。
今年、数々の経験で、痛いほど身に染みている。
「余韻に浸る場合でも、緊張している場合でもない。まだ初日。始まったばかりですから。あと3日、自信を持ってやるだけです」と、平常心を貫く構えだ。

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