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ANAオープン 2009

山下和宏が首位の谷口徹に…

ホールアウトしてすぐに、クラブハウス前でばったり出くわした谷口徹が大きな声を出した。山下を「山P(やまぴー)!」と呼び、「今日は、君のスコアを見た瞬間にやる気が出たよ!」。

今年は7月を過ぎたころからやたらと谷口にいじられるようになった。過去2回の賞金王は、「これは」と思う選手をつかまえて、あれこれとお節介を焼く傾向にある。

そんな谷口にとって、今季すでにトップ10入り5回と好調をキープして、いまもっとも初優勝に近い選手のひとりと言われる山下は、格好の相手なようだ。

石川遼と優勝争いの末に、4位につけたのは8月のサン・クロレラ クラシック。そのすぐあと速攻で谷口に叱られた。「俺は山Pが勝つと思っていたのに…。何してんのん」。

歯に衣着せぬ物言いには、確かにグサリと来ることもあるが、今年初シード入りする以前は、「谷口さんは、雲の上の人だった」。
そんな選手から、そうやって声をかけられるようになったということは、「少しは認めてもらえているということ」。
そんな確信が、さらなる自信につながっていく。

最終日に前後の組で回った8月のVanaH杯KBCオーガスタでは、前組でやたらとライバル心を燃やされて、山下ばバーディで拳を握ろうものならいちいちと、「山P、何をガッツポーズしてんのん」とインターバルで突っ込みを入れられる始末だ。

そのうちに、山下のほうでもメラメラと闘争心が燃えてきて「おっちゃん(谷口のこと)には負けられん」と、8位タイでフィニッシュ。
残念ながら谷口には1打負けたが、その存在を大いに励みにさせてもらったものだ。

「あれだけの選手にそうやって、声をかけてもらえることは、とても有り難い」。
当時に、「そんな谷口さんの気持ちに答えたい気持ちがある」。
迎える3日目は、その谷口に5打差をつけられたが大会はまだ折り返したばかりの今は、そのくらいの距離感がちょうどいい。
「あの人と、直接対決は嫌ですから。僕は前の組で、ちょろちょろっと上に行っとこうと思います」と、笑った。

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