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三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2007

藤田寛之「僕なんか、どうなってもいい」

午前中から降りだした雨は、次第に強く激しくなった。以前、使用していた合皮の手袋ならば、濡れてもさほど問題なかったが、天然皮革のものは致命傷になる。クラブのグリップも、出来るだけ濡れないように。大雨の中、専属キャディの梅原敦さんと協力しながら歩いた。

それほどに気を遣っても、やっぱりどうにもならないことがある。
「構えた瞬間にクラブヘッドに水滴がつく。インパクトの瞬間にボールが滑ってしまう」。
そうなると、コントロールしきれない。
「今日は、目をつぶった状態で打っているような感じだった」と、振り返る。

ここ大洗ゴルフ倶楽部は「もともと一筋縄ではいかないコース」。そこに難コンディションが加わってどうにも手に負えない。
「とにかくコースのワナにはまらないように・・・。パーを取っていれば順位が上がると信じてやっていた」。
そんな状況の中で、この日イーブンパーに留められたことは「最高ですね」と、思わず自画自賛。
「でも、精神的に疲れてしまった」と、やつれ顔でため息をついた藤田には、実はこの日の天候以上に疲れていることがある。

東建ホームメイトカップで初日首位タイ。
つるやオープンで初日2位タイ。
中日クラウンズで初日6位タイ。
日本プロで初日首位タイ。
先週のマンシングウェアオープンKSBカップで初日5位タイ。
そしてこの日2日目に3位タイ・・・。

「毎週、この位置で疲れてしまった」と、その肩をいっそう落とした。
毎週、周囲に期待され、自分自身にも期待をかけて決勝に挑むが、結局どうにかトップ10入りするか、平凡な順位に終わる・・・。
「僕はあれこれ考えすぎるから。ゴルフに対して、真面目すぎるのがいけないんです。ダメならダメでいいくらいの気持ちでやればいいのに・・・」とぼやき節だ。

もういい加減、優勝しても良いころなのに、あと一歩で勝てない展開続きに業を煮やしている。
「・・・もう、僕なんかどうなってもいいんです」と、思わず飛び出した投げやり発言は、それくらい開き直ってやってみようという、ひとつの作戦でもある。


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