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サン・クロレラ クラシック 2005

宮里聖志「今度は接戦で勝ってみたい」

インタビュールームに座った聖志が手をひらひらと自分のほうに向けて、言った。
「今週は藍ちゃん、出てないから。こっちに来てますかね?」と、笑った。

宮里3兄弟にはジンクスがある。それは3人のうち誰か一人の成績が良いと、ほかの2人が運を吸い取られて調子が悪くなる、というもの。
もっともその運は、プロデビューから快進撃を続ける妹の藍さんが目下独り占め、という状況なのだが、今週ばかりは長兄の目の色も変わる。

今週、藍さんは海外遠征を終えて帰国し、休養を取っている。試合に出ていないから、その分の運が自分にもまわってくるだろう、という聖志は踏んだのだ。
実際、最終日を前に首位と1打差の通算9アンダー。
ツアー2勝目の大きなチャンスだ。

今シーズンの第1戦、アジア・ジャパン沖縄オープンで初優勝をあげたが本人は、遠い昔のことのように感じている。
何しろ、同大会が開催されたのが昨年12月。そのあとツアーはオフに入り、ほかの選手たちから祝福を受けたのも、年が明けて余韻もすっかり薄れてしまった3ヶ月後の今年3月、開幕戦の会場だった。

しかも、あのときは最終日に猛追して勝った。
17番まで、自分が首位に立っていることを知らず、ほとんどプレッシャーのない状態だったから、「自分でも、なんかまぐれで初優勝したみたいな気がしていて・・・。だから次は、絶対に接戦で勝ってみたいんです」と、聖志は言う。

初優勝のあと、オフはホンダのレーシングチームのトレーナーをつとめる鎌田貴氏の指導で、兄弟揃ってハードなトレーニングに汗を流した。
何より苦手というランニングも、「ほかの2人が頑張っているのに、俺だけ音をあげるわけにはいかない」と歯を食いしばって耐えてやり遂げた。

おかげで、シーズン中盤の今も体の疲れはほとんどなく、「ゴルフも、去年よりうまくなった気がする」。
次の2勝目は、逞しさを増したあかしだ。

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