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ABC チャンピオンシップ ゴルフトーナメント 2005

片山晋呉「気になるのは世界ランキング」

5番パー4で、ダブルボギー。右バンカーからの第3打を、グリーン奥に打ち込んだ。寄せきれず、4メートルのボギーパットが決められなかった。

11番のボギーは、第2打を木に当てた。
この大接戦にいずれも手痛い「イージーミス」

しかし、そんなことでへこたれる片山ではない。
視線の先には、常に“世界”があるからだ。

来月のダンロップフェニックス。
タイガー・ウッズが2年連続で来日する。
「彼には3番ウッドでも勝てない。10回やったら10回負けるかもしれない。でも、そのうち2回でも勝ちたいと思う。そのためにも、ここで勝っておけば良い勝負ができるかもしれない。そういう気持ちでプレーした」。

だからミスをしても、けして気持ちを切らさなかった。
高い集中力を保って、最終ホールにやってきた。

ウッズに劣る部分ばかりを探して嘆くより、「負けない」と思えるものを見つけようとする。
「たとえば精神力や、曲がらないアイアンショット」。
飛距離の差をカバーできる特技を作って、徹底的に磨きをかける。
カバーできると分かれば、たとえアマチュア向けの道具でも、なりふり構わず取り入れる。

98年の今大会からバッグに入れた7番ウッドもそのひとつだった。
「ツアーでは、200ヤード以上残る。僕の身長では、速くて硬いグリーンに止められない」と決断した。
「僕のゴルフはこのクラブで劇的に変わった。これがなければ、今の位置はなかった」というほど絶大な信頼を置く“宝刀”も、当時は他の選手から「女子プロのキャディバッグかと思った」と笑われたりして悔しい思いをしたが、「今はみんなが使ってる」。
片山が使い始めてブームとなったギアは、意外と多い。

このツアー通算18勝目を支えてくれたのも、やはり7番ウッドだった。
特にこの日の18番パー5は圧巻だった。
残り190ヤードの第2打は、「本当なら5番ウッドの飛距離」。
しかし、アンジュレーションのあるグリーンに止められるかどうかは微妙だった。
思案していると、ふいに風があげてきた。「僕の一番、好きな距離になった」。
躊躇なく握った得意の7番ウッドで、ピン奥5メートルに2オン。
「思ったとおりのショットが打てた」。

劇的イーグルで締めくくった今季2勝目で、獲得賞金は1億3007万5280円。
史上4人目となる連続賞金王にむけていよいよ王手がかかったが、片山が気にかけているのはもっと別のことだった。

「来週の世界ランキング。この優勝で、かなり上がるはずだから」。
翌日月曜日に発表される同ランキングで、目標にしている45位内に手が届くのか。注目が集まる。

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