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日本プロゴルフ選手権大会 2003

『僕は次の日だけ見てゴルフをしているわけじゃない』10年先をも見据える片山晋呉が2位タイ

今年に入って合計6ラウンド。うち2ラウンドは先週だ。一番乗りで会場の美浦GCにコース入りして、下見を重ねた。
昨年、久保谷健一とのプレーオフで惜しくも敗れたこの日本プロゴルフ選手権。そうそうたる歴代チャンピオンが名前を連ねる今大会は、「選手としてやっている以上、ぜひ一度は勝ちたい試合」。思い入れの強さは人一倍だ。

前日初日は、つまらないミスでスコアが伸ばせず、13位タイと出遅れた。この日2日目は、1番パー4で寄らず入らずのボギースタート。「今日もまた凡ミスをしているな・・・」その原因を、「アドレスに入るまでのルーティンにある」と考えた片山は、同じ組の谷口のプレーをしばらく観察することで、ヒントを掴んだ。
「アバウトに構えたら、すぐに打つ」(片山の谷口評)タイプの谷口に対し、片山はその正反対で、「何から何まできちきちとセットアップして打たないと気がすまないタイプ」(谷口の片山評)だ。それもすべてに完璧を求めるがゆえなのだが、今週は行き過ぎている、との自己分析を下した片山は、谷口のルーティンを参考に「だいたいで打って行こう」。少しルーズ目に構えて打つようにしたら、「途端に、全てが良くなった」。後半はボギーなしの4バーディ、通算7アンダー2位タイでホールアウトだ。
「今日はショットが一緒に回った谷口さんと星野より、常に前を行っていた」と胸を張る。海外に行くたびに痛感せざるをえないパワー不足。それを補うために、数年前から大きな負荷をかけたトレーニングに取り組んできた。左右にOBゾーンが横たわりドライバーが多用できないこのコースでも、得意のフェアウェーウッドで誰にも引けを取らない飛距離を稼げるのも、その成果だ。
ハードなトレーニングは、1回約1時間30分、週に2回と決めている。「今日がその日。もちろん、今日もやるよ。トレーニングをした次の日のゴルフには、少しよくない影響が出るかもしれないけれど、それでも今はやらなくちゃいけないとき。僕は“次の日”だけ見ているゴルフやってるわけじゃないからね」。
今週のビッグタイトルを射程に捕らえながらも片山は、5年先、10年先の自分をもしっかりと見据えている。
写真=片山(左)は、先々週ツアー初優勝を飾った星野(右)とラウンド。星野が勝った翌週に、「次の2勝目が大事。1勝だけで浮かれるな」と厳しくも暖かい忠告を送っているだけに、初V以後、星野の2週連続予選落ちには「今、また苦しい時期だと思う」と後輩の気持ちをおもんぱかった。

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