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ABC チャンピオンシップゴルフトーナメント 2003

元・ABCゴルフ倶楽部所属の大井出哲(さとし)が、16番パー3でホールインワンを達成

ホールアウト後、大井出は母・節子さん(=左)に3つ目となる記念のボール をプレゼントして「明日はスコアで頑張るからさ!」
219ヤードの16番パー3。7ウッドでティショットを打った瞬間、とっさに右手をク ラブから離してい た。「ミスった、つかまり過ぎたよ!」
だが、本人の意志に反して、ボールはまっすぐにピン方向へ。グリーンエッジでバウ ンドしたボールは最後のひと転がりでカラン・・・、カップに吸い込まれた。

試合では、自身3回目となるホールインワンは、300万円の賞金該当ホールだ。ここABCゴルフ倶 楽部は、デビュー前からプロ入り後の6年間まで所属選手として腕を磨いたコース。 今でも見知った顔 が多く、ホームコースといってもいい思い出の会場で、ビッグマネーをゲットだ。し かも今回は、マン デートーナメントからの挑戦だった。「ほんまはショットもミスしかけやったのに、 俺ってなんか、む ちゃむちゃラッキーな男ですよね」あごに生えた無精ひげも、思わずほころぶ。

過去3回のエースで得た賞金は、これで800万円にのぼる。前回、達成した2回ともい ずれも賞金がかか ったパー3だった。

92年の関西オープン(ツアー外競技)万寿ゴルフクラブでは、200万円だった。94年 の宇部興産オープ ン、宇部CC万年池西コースの16番は300万円。

効率よく、賞金を稼いだ陰には常に“女神”がいた。どの快挙達成の瞬間にもそばで 応援してくれていた、今年72歳になる母・節子さん。思いがけない大金を手に入れて 大喜びの大井出はホールアウト後、いつものように記念のボールを節子さんにプレゼ ント。

受け取った節子さんも一緒に手をたたいて喜んだ反面、ふと複雑な表情を浮かべ 「・・・こんなんじゃなくて、もっと試合の賞金で稼いでくれたらいいのにねえ」と た め息をついた。
無理もない。我が息子の今年の賞金ランクは116位で、獲得額は331万6608円と「この 日のホールインワンとほぼ同じで、今年も大赤字・・・」(大井出)。母の嘆きに 「最 終日は、地に足つけて頑張るから」と、答えずにはいられなかった大井出だった。