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日本プロゴルフマッチプレー選手権 2003

絶好調で、再びのぞんだマッチ決勝戦

今大会の開幕前から、優勝候補の筆頭だった。
今季3勝、賞金ランク1位。絶好調で、再びこの大舞台に乗り込んできた94年のチャン ピオン。昨年まで のどん底から救ってくれたのは、約5000円のパターだった。
このパターとの思い出は、13年前までさかのぼる。アジアンツアーで戦っていたとき のことだ。マレー シアオープンの練習ラウンドでいっしょに回っていた選手に、
「君のスプーンはとても使いよさそうだ、譲ってくれないか」と持ちか けられ、彼のパターとトレードすることで、交渉成立 。
そうやって手に入れたのは、ピンのB60。これに持ち替えたとたん、直後から面 白いようにパット が入り始めた。その試合で4位入賞、2年後の92年にはアジアンツアーの賞金王とな り、日本ツアー参戦 のチャンスをつかんだのだった。
しばらく、そのパターで活躍を続けていたハミルトンだったが、ある試合で短気を起 こして地面にたた きつけた拍子に、シャフトを折ってしまう。
それをきっかけに新しいタイプのものを探していたのだが、なかなかコレというのが 見つからず、そん なとき、たまたまのぞいた米国ダラスの『ダラスゴルフショップ』で運命の再 会を果たしたのだ 。
店頭に並んでいたのは、あのときとまったく同型の中古パター。「50ドルで売られて た。迷わず買って 帰って、そのあとの日本ツアーで初めて使ったら、なんと!優勝しちゃったんだ よ」。
今年、ハミルトンは好調期を支えてくれたそのパターを、再び持ち出していた。効果 のほどは、何より “数字”が物語っている。
現在、部門別ランキングの平均パット数で1位。この日のスメイルとの決勝戦でも、 もっとも印象深い1 打に2アップに成功した13番の7メートルのバーディパットをあげるなど、大事な場面 で威力を発揮して くれたのだ。
2度目に手に入れたときは、たった50ドルだったこのパター。「今じゃ僕にとっては プライスレス( お金には替えられないもの)!これからは、枕もとに置いて寝たいくらいだよ!」。 実際に、このパターはすでに製造されておらず、いまではほんとうの貴重品。ありが たみを痛 感したいまは、もう二度とシャフトを折るようなへまはしないつもりだ。