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サトウ食品NST新潟オープンゴルフ選手権競技 2002

「これまでのどの優勝よりも、大人のゴルフ」

 もがき苦しみながら勝ち取った勝利で、今野康晴は新境地をひらく
 「いつ、昨年のように、大曲りするか。いつ、宮本さんに、逆転されるか…」
 とうとう、最後まで、気を緩めることなど、できなかったツアー3勝目。
 50センチもないウィニングパットを沈めて、ようやく、笑顔を見せた今野は、この勝利で改めて、自分の成長ぶりに、気がついたようだった。
 以前は、ただ、真っ直ぐに飛ばすことばかりに気が向いていた。
 自分の打ったボールは、真っ直ぐに行くものだ、と信じて疑わなかった。
 だが昨年、初めて自分でも、コントロールしきれないほどのショットの不振を経験して、
 「いまは、曲げたら、そこからどうやってパーを拾うか。調子を崩したおかげで、スコアメイクについても、考えることができるようになったのだと思う」。
 今野はこの1年、ただ無駄に苦しんでいたわけではなかった。
 不調にあえぐ中で、自然と、発想の転換を覚えていったのだ。

 2打差で迎えた16番パー5は、ティショットをラフに入れたが、緊張感の中でも冷静な判断で、確実に刻んでバーディチャンスに持ち込んだ。
 3打差で迎えた18番。前日3日目は、右のラフに入れてグリーンが狙えず、ボギーを打った。「だから今日は、とにかく左。ラフでもいいから、左へ打ちたいと思った。左へ打てた時点で、ようやく勝った、と思えた」
 スイング面についても、「手打ちにならないよう、腰の回転に合わせてしっかり体重移動をしていく」との課題を持ちつつ、最後の最後まで、勝つためのコースマネジメントは、忘れなかった。
 「これまでのどの優勝よりも、今日は、大人のゴルフが、出来たと思います」と今野。
 昨年の不振は、よりいっそう、成長していくための試練だった。
 今野は、その試練に打ち克って、これからますます、成長をとげていこうとしている。

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