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サトウ食品NST新潟オープンゴルフ選手権競技 2002

「後半、40くらい打つかもしれない、と覚悟した」

 最終日は、これまでにないくらい大きなプレッシャーとの戦い、今野康晴
 昨年の“残像”が、何度も、今野の脳裏によぎっていた。
 それは、フロント9を、4バーディ1ボギーの33で回っても消えなかった。
 「後半は、40くらい打つかもしれない」と、ハーフターンで、覚悟したほどだ。
 もともと、美しいオンプレーンを描く今野のスイングは、「打てばフェアウェー。球が曲がる、などと、考えたこともなかった」。
 それが、肩を痛めた昨シーズンは、これまでに経験したこともないくらい、「思いも寄らぬ方向に、ボールは飛んでいた」。
 スコアメイクより、どちらかというと、スイングの出来・不出来にこだわるタイプだった今野は、深刻な悩みに陥った。
 思い通りに打てず、半ば、やけ気味になったこともある。
 出場義務試合数をこなすだけの日々。
 結局、昨年は、出場23戦で、予選落ちと棄権が半数。トップ10入りは、たった1度だけ。
 収入は、約6200万円から、900万円まで落ち込み、賞金ランク93位で、シード落ちをした。
 「不安があると、そればかりが、気になるタイプ。ラウンド中、少しでも球が曲がると、そのことだけしか、考えられなかった。スコアメイクにまで、頭が回らず、曲がった理由ばかりを探しながら歩いていたと思う」

 肩の痛みもほとんど消えた今季は、13戦フル参戦で、予選落ちは2回だけ。スイングも、ほぼ復調の兆しを見せていたが、首位と1打差2位タイでスタートしたこの日最終日も、「また大曲するかもしれない」との不安が、今野に、これまでに感じたこともないくらい大きなプレッシャーを与えていた。
 14番のバーディで宮本と2打差にも、安心するどころか、緊張感は、なおいっそう深まっていた。
 16番では、1メートルもない、短いバーディパットを外してしまい、突き放すチャンスを、みすみす逃したほどだ。

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