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アイフルカップ 2002

“2日”かけて手に入れた予選通過の稲葉

2日目、日没サスペンデットが決まった時点の、予選カットラインは通算3アンダー。
 前日、15番ホールを終了した直後に、競技中断のサイレン。そのとき、稲葉のスコアも、通算3アンダーだった。
 稲葉の予選通過は、翌日のあがり3ホール次第。
 というわけで、その後の夕食の席でも、話題にのぼるのは、16、17、18番の攻略法のことばかりだった。
 「16番でパー、17番でバーディにして4アンダー、18番は、余裕を残して迎えたいなあ」
 翌日のことを思うと、明朝4時起きにもかかわらず、夜中は、目がばっちり冴えてしまった。
 「とにかく、今のスコアをキープさえすれば予選通過、というのはわかっているんだけど。それでもつい考えちゃう気持ち、わかってもらえるでしょう…?(笑)」

 サスペンデットから約11時間後。
 「嫌な雰囲気で立った」16番ティグラウンド。
 ティショットはセンターを捉えたが、第2打が手前のバンカーへ。寄せきれず、1メートルのパーパットを外し、前夜の攻略法も甲斐なく、いきなりのボギー発進。
 稲葉の頭は真っ白になった。
 次のパー5で取らないと、もう、終わりだ…」
 17番で、1メートルのバーディパットを必死で沈めても、不安な気持ちは治まらない。
 最終18番。フェアウェーからの第2打は、7メートルのバーディパットが残った。
 「とにかくOK距離につける…」慎重に、慎重にラインを読んで打ったバーディパットはカップまで、1メートル。
 稲葉にとっては、とてつもなく長い、このパーパットを沈めて、ようやく、呪縛から解放された。
 「もう、最後までしびれまくり・・・(笑)危なかったなあ〜!!」
 “2日”かけて手に入れた予選通過に、キャディと肩をたたきあった稲葉は、同日10時40分に、インコースから第3ラウンドをスタートさせる。
 稲葉の、長い1日はまだ、始まったばかりだ。